「持続可能な観光」=「サステナブルツーリズム」に向けた取り組みについて考えます。

コロナ禍後の需要回復により、観光客が各地で増えていますが、訪れる人が増えすぎることで、地域住民の生活などに悪影響をもたらす「オーバーツーリズム」も問題になっています。

そうした中、注目されているのが、地域の持続的な発展を目指す「サステナブルツーリズム」という「観光のあり方」です。

長崎国際観光コンベンション協会も、長崎市版のサステナブルツーリズムの実現に向けた取り組みを始めました。

長崎では、修学旅行や大人数でのツアーといった「大量消費型」の観光が、長年主流でしたが、1人1人に付加価値の高い体験をしてもらうことを目指します。

これまでの経済性の重視から人間性重視に転換し、観光コンテンツだけでなくその背景にある歴史や文化を伝えることで、特別感を感じ、リピーターとなってもらうことが狙いです。

9日は、そのプランの1つを巡るモニターツアーが行われました。

(日本二十六聖人記念館 宮田和夫マネージャー)

「今、日本の中でカトリック教会の“ナショナルサンクチュアリ”はここだけ」

ツアーは、長崎市の「日本二十六聖人記念館」をスタートし、キリスト教の禁教の歴史について学んだあと、外海地区で潜伏キリシタンが暮らした地域を巡ります。

県外から、観光コンサルティング会社の代表やコピーライターら7人が参加し、さらなる磨き上げのために必要なことを確認していきました。

(コピーライター 原 晋さん)

「グラバー園とか出島とかカステラ、ちゃんぽんみたいな “長崎の固定化されたイメージ” を持っているのが、非常にもったいないくらいにたくさんの観光資源がある。このプラン自体が潤うというよりは、地元の人たちの文化継承のために、このサステナブルツーリズムがある」

(観光コンサルティング アレックス・ブラッドショーさん)

「より深い長崎の文化を説明していくと、リピートする客もいるし、本当に長崎に興味のある人が来る。そうすると経済効果は高くなっていって、地域住民の生活にメリットを与えるような観光になっていくのは」

今回、開発が進められているサステナブルツーリズムのプランは、キリスト教の歴史をテーマに外海地区などを巡るもので、かんころ餅づくり体験などでは、地域の人たちと交流して、その場所での暮らしを知ってもらいます。

また、専門のガイドも育成し、その場所の文化的な背景の説明も行うということです。

今年12月には、このプランの販売を始めるほか、平和や産業革命遺産などをテーマにした新たなプランの開発も今後、進めていくということです。