大谷翔平の通訳・水原一平が違法賭博で球団を解雇された。ギャンブル依存と報じられている。日々の生活に支障を来しながら「やめたくてもやめられない」依存症。酒や薬物以外にも、意外なものに耽溺する人々がいる。あなたは「他人事」と言い切れますか……?
◆話題の“アル中”YouTuberはなぜ酒に溺れたのか

【アル兄わかささん】
YouTube「【アル中】アル兄わかさチャンネル【酒】」で毎日20時に飲んだくれる姿や、街ブラ飲みの模様などを配信中。毎月オフ会も開催している

「俺は酒に溺れているんじゃなくて、救われてるんですよ。こいつらがいてくれるから、俺は俺らしくいられるの」

 いつもの激安焼酎をコップに注ぎ、炭酸水で満たしたそれを一気に口に流し込む。「くう〜!ウルトラ気持ちいい〜!」が決めゼリフの、「アル兄わかさ」さん(38歳)は、“アル中YouTuber”として人気を集め、昨年から登録者数が急増中。現在(4月30日時点)、登録者数は9.8万人を超えている。

「一緒に住んでいたカメラマンの友人から『お前の堕落した人生は面白い』って、YouTubeに誘われたのが配信のきっかけ。コロナ禍が落ち着いた去年頃から動画に力を入れてやってみましょうって。彼の先見の明は凄まじい」

◆「あのとき酒がなかったら…」

依存症 6畳一間のアパートは、激安焼酎や炭酸水のペットボトルで埋め尽くされている。酒を「うまい」ではなく「気持ちいい」という自称・アル中。溺れるように飲み始めたのは、いつからなのか。

「あまり面白い話じゃないですよ。大学卒業後の、就職先が自分には合っていなくて。クレームの電話を一日10時間引き受ける部署で、朝起きると『また今日も怒られに行くのか』って、毎日胃が痛かった。

 だからそこを半年で辞めて、『仕事も辞めたし、飲むか』って感じ。嫌なことを忘れられるのはもちろん、テンションが底上げされる。動く活力にもなるし、『酒はこんなに俺を助けてくれるのか!』と衝撃でしたね。脳や心が揺れる気持ちよさっていうのかな。

 あのとき酒がなかったら、今も病み続けていた気がする。酒よ!ありがとう!」

◆友人の会社で働きながら酒浸りの毎日

 アル兄わかさは、4ℓの激安焼酎を、3日で飲み干す。現在は週に3〜4日、友人の会社で働きながら酒浸りの毎日を送っているという。

「シラフのときは寝てるときだけ。ほろ酔い程度の濃さで作った焼酎を一日中ずっと飲んでます。“アル”が入って初めてやる気が起きる。会社をやっている友人は、俺が常にアルってるのを知ってるから、仕事の合間に“アル休”を取っても怒らない。『アル休入りま〜す』って、水筒に入れた薄めの焼酎ソーダ割りを、グビッと。仕事でミスはしないし、むしろ活動量と生産性も爆上がりだ」

◆“底辺からの応援”をしたい

 報酬は、最低限生活できる賃金のほか、毎回4ℓの激安焼酎3本が支給される。

「医者に診てもらったことがないから依存症かどうかはわからないけど、きっとそうでしょう(笑)。そんな俺に唯一できることは、『おい、みんな大丈夫か、もっと下の人間もいるぞ』って“底辺からの応援”をすること。俺みたいなクソなヤツが垂れ流すリアルを動画で見て、『もっと人生頑張ろう』と思ってくれる人がいればそれで十分。それが最高。みんなアルってる!?俺は常にアルってるよ!」

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平

―[蔓延する[依存症]の恐怖]―