吉田鋼太郎(65)が6日、さいたま市内の彩の国さいたま芸術劇場で7日、開幕の「彩の国シェイクスピア・シリーズ」2nd Vol.1「ハムレット」ゲネプロで意気込みを示した。

「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は、芸術監督を務めた蜷川幸雄さんがシェークスピア戯曲全37作品の上演を目指し、98年に「ロミオとジュリエット」でスタート。16年に蜷川さんが亡くなった後は、吉田が芸術監督を引き継いで残り5作を担当し、23年2月24日に埼玉会館で大千穐楽を迎えた「ジョン王」で、25年のシリーズを完結させた。ファン、関係者から再演、新シリーズを求める声が相次ぎ、2ndが始動した。

吉田は演出・上演台本に加え、ハムレットの叔父クローディアス役も演じる。ハムレット役で主演の柿澤勇人(36)を伴い、ゲネプロ前に応じた質疑応答では、蜷川さんが立ち上げた前シリーズの歩み、道のりを踏まえ、新シリーズの今後を早くも見据えた。「すごい長いんだろうな、これから…。20、30年たっていく長さ、重さを感じる。僕も65歳…そのころは95歳くらいになる。いるかもしれないが、ひょっとしたら、いないかもしれないが、誰かに渡して続けて欲しい。重大な責任、重圧を感じる」と率直な思いを語った。

企画については「始まった時から発言しているんですけど、11歳で夭折した男の子がハムネットという名前。シェークスピアが、すごく大事にしていた男の子で、彼のことを思いつつ芝居を書いたのではないか? 悲劇の渦中にありつつも、殺人が行われる世界でいいんだろうか? と、いつも葛藤し、闘っている人間になると良いのではないか? というコンセプトを軸に芝居を作った」と説明。「(シェークスピアは)ハムレットはなぜ悩み、過酷な人生に巻き込まれ、どう対処したのか書いているであろうと。分かってもらえる演出はやってきたつもり…お客さんに見て判断していただくしかない」と語った。

「彩の国シェイクスピア・シリーズ」2ndは、25年に「マクベス」、26年には「リア王」を上演することが既に発表されている。