クリスマスも近い2000年12月22日、米インディアナ州のサウスベンド市警に勤務していたジーン・エイスターさんは、「赤ん坊の泣き声が聞こえる」という通報を受けて、現場の集合住宅に駆けつけた。

 そこには生後2日の赤ん坊が、毛布とフランネルのシャツに包まれ、箱に入った状態で捨てられていた。その後の捜査で母親が見つかり、虐待(ネグレクト)の罪で起訴された。赤ん坊は、別の家庭に養子として引き取られ、新たな人生を歩み出した。

 ジーンさんは遺棄されていた赤ん坊のことを時々思い出すことはあったものの、その後、どう成長したかは知らないまま、2009年、警察を引退した。

 そして今年3月、同市警で一緒に働いていた後輩のジョッシュ・モーガンさんから電話がかかってきた。

「ねえ、ジーン。20年以上前に集合住宅で赤ん坊が捨てられてた事件、覚えてます?」

「もちろんさ」と答えると、ジョッシュさんは驚くべきことを口にした。

「あの時の赤ん坊が今ここにいるんです。俺の部下になってます」

 その新人巡査は、マシュー・ヘゲダス=スチュワートさん(25)。勤務中、ジョッシュさんに「実は私、生まれてすぐに親から捨てられて、養子になったんです」と身の上を話した。それを聞いてジョッシュさんは「もしや……」と思い記録を調べてみたら、まさにジーンさんが担当した事件だったのだ。

 マシューさんも、まさか自分を助けてくれた警察に配属されていたとは夢にも知らずビックリ仰天!

 ジーンさんとマシューさんは先日、事件から約24年ぶりに再会した。写真はその時のひとコマだ。左がマシューさん、右がジーンさん。手にしているのは記録として保管されていた事件当時のマシューさんの写真だ。

 マシューさんは「あなたがしてくださった全てのことに感謝します」とジーンさんにお礼。

 ジーンさんは「偶然がたくさん重なっているよな。警察学校卒業後の配属先はランダムだ。自分が発見された集合住宅が管轄の警察署に配属される確率ってどのくらいだろう?」と語った。

 この感動の再会は米誌ピープル(4月30日付電子版)などでも報じられ、全米の注目を集めている。