【それ間違いかも?ビジネスマナー常識チェック】#63

 敬語の基本編(4)

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 3回にわたって、尊敬語と謙譲語の基本的な使い方をみていきました。

 よくある敬語の間違いが、尊敬語と謙譲語を混同してしまうパターン。本来なら敬うべき相手に対して、へりくだった表現である謙譲語を使ってしまう、次のようなケースでしたね。

×「部屋番号は受付で伺ってください」(「伺う」は「聞く」の謙譲語)
〇「部屋番号は受付でお聞きになってください」

 今回は、よくある間違い敬語の続き、もしかしたら使っているかもしれない「二重敬語」についてみていきましょう。

■二重敬語

 丁寧に話そうと思うあまり、つい敬語を重ねてしまう「二重敬語」。

 基本的には「ひとつの言葉に、敬語はひとつ」が原則です。「二重敬語」がすべて間違いというわけではありませんが、一般的に敬語の使いすぎはよくないとされています。

 ここで復習です。敬語の基本2回目に、尊敬語の言い換えには、次の3つの型があることをお伝えしました。

①言葉そのものを言い換える

●お客さまが見た→お客さまがご覧になった

②言葉の前後に「お〜になる」「ご〜になる」をつける

●社長が参加する→社長がご参加になる

③語尾に「れる」「られる」をつける

●先輩が話した→先輩が話された

 前記を踏まえた上で、「二重敬語」とは具体的にどのようなものなのか、2つのケースをみていきましょう。

(1)言葉そのものを言い換えた敬語に、「れる」「られる」をつけてしまう

×「お客さまがご覧になられた」→〇「お客さまがご覧になった」 
×「お客さまがおっしゃられた」→〇「お客さまがおっしゃった」
×「先生がお越しになられた」→〇「先生がお越しになった」

 などです。いずれも、言葉を言い換えた敬語に「れる」がついているパターンです。

(2)言葉の前後に「お〜になる」「ご〜になる」をつけた敬語に、「れる」「られる」をつけてしまう

×「社長がご参加になられる」→〇「社長がご参加になる」
×「先生がお話しになられる」→〇「先生がお話しになる」
×「荷物をお受け取りになられる」→〇「荷物をお受け取りになる」

 などです。いずれも、「お〜になる」「ご〜になる」に「れる」がついているパターンです。

■例外

「お召し上がりになる」(「召し上がる」+「お〜になる」)

「お伺いする」(「伺う」+「お〜になる」)

 など、日常的に広く使われている表現は、「二重敬語」であっても既に一般に定着しているため、使っても問題ないとされています。

(金森たかこ/マナー講師)