日本ダービーが近づいた。普段はあまり馬券を買わない人も、ビッグイベントは別。家族や友人らと「やっぱジャスティンミラノでしょ」とか「いやいやシックスペンスが来る」なんて盛り上がる。単勝か枠連か、それとも3連単で勝負? 馬券は何種類もあるけど、それぞれ払戻率(還元率)は微妙に違う。何を買えばお得度が高いのか。競輪、ボートレース、宝くじなどの還元率と併せてリサーチしてみた。

■還元率は単勝と複勝が80%と高い

 先週19日のオークスを制したのはルメール騎乗の2番人気チェルヴィニア。2着は1番人気のステレンボッシュ。順当なだけに払戻金は単勝460円、馬単1300円だった。このレースの売り上げは185億円あまり。さて、われわれが投票した総額(約185億円)のうち、どれぐらいが払い戻されたのか。

 JRAに限らず公営ギャンブルは還元率がほぼ決められている。競馬はおおむね70〜80%で、還元率がもっとも高いのは単勝と複勝の80%。仮に単勝の売り上げが10億円だとすると、80%に相当する8億円が払戻金。この8億円を的中馬券で山分けする。的中馬券が約174万枚(1口100円)あると、1口あたりの払戻金は460円ほど。オークスの単勝は、おおむねこんな感じだった。

 馬単の還元率は75%。単勝より低いので、その分、JRAや国庫に入る比率が高くなる。投票する側にとっては不利ということ。

「還元率で見れば単勝、複勝のほうが得だとは分かっています。でも的中したときの倍率は3連単や3連複のほうがはるかに高い。その魅力は大きい」(50代サラリーマン)

 大波乱だった12日のヴィクトリアマイル。14番人気(15頭立て)が1着となり、単勝は約2万円の万馬券だった。ただ、馬単は約30万円、3連単が約92万円と超がつく高配当。こうなると単勝はちょっともの足りないのもうなずける。

 この日(12日)の全レース(2回東京競馬8日目)の売り上げは約264億円。金額が大きかった順に並べると3連単(約88億円)、3連複(約62億円)、馬連(約28億円)だ。人気の高い券種ほど還元率は低い印象だ。

■ディープインパクトCは払戻金に上乗せあり!

 人気のGⅠレースが開催される日は、払戻金がアップする特定レースもある。アップ率はさまざまだが、「JRAウルトラプレミアム」は枠連・馬連・ワイド・馬単.3連複.3連単の還元率が単勝と同じ80%にアップ。その上、売り上げの5%が払戻金に上乗せされるのだ(単勝・複勝も対象)。

 対象レースだった12日の「ウオッカC」。3連単の払戻金は通常だと12万9030円だが、15万1270円にハネ上がった。2万2000円以上の上乗せだ。

 ダービーの1つ前のレース「ディープインパクトC」も対象レース。ダービーは外せないけど、還元率から見たら、こっちのほうがお得。チャレンジしてみる価値はある。

 地方競馬(大井競馬や川崎競馬など)の還元率はJRAとは若干異なるが、70〜80%は同程度。ボートレースや競輪は75%、オートレース70%が目安となっている。totoをはじめとするスポーツくじは50%、パチンコ・パチスロは80〜85%が目安だ。

ドリームジャンボは100万円が5万人に1人の確率

 宝くじはどうか。ドリームジャンボ(1枚300円)が6月7日まで発売中で、1等3億円、1等の前後賞1億円。うまくすれば一気に5億円を手にすることができる。ただ、還元率は約46%と競馬に比べグッと低い。1等が当たる確率は1000万分の1(0.00001%)で気の遠くなるような数値だ。

 宝くじに関するリポート(「ドリームジャンボの期待2024〜能登半島地震の被災地支援に向けて」など)をまとめているニッセイ基礎研究所の篠原拓也主席研究員はこう言う。

「宝くじはギャンブルというより、一獲千金を夢見て……という感じでしょう。自分で選んで投票する競馬とは異なる気がします」

 宝くじは「連番かバラか」「1等の出やすい売り場を探す」「大安吉日に買う」「買った宝くじは神棚に」など、どちらかといえば運任せ。篠原氏によると、1枚300円の宝くじの期待値(得られる当せん金の平均額)は149.99円となっている。

 今回のドリームジャンボは昨年に比べ、2等1000万円の本数が1ユニット(1000万枚)あたり2本から4本に増えた。3等100万円も70本から200本に増加。その分、5等1万円が3万本から1万本に減っている。

「最近は100万円以上の高額当せん金を増やす傾向にあるようです。ひところは少額当せん金の本数を増加させたこともありますから、流れというのがあるのかもしれません」(篠原氏)

 ドリームジャンボで3等100万円が当たる確率は5万分の1(0.002%)。東京ドームの最大収容人数は5万5000人だ。今月6日に行われたボクシングの井上尚弥のタイトル戦は演出の都合で外野席が使えなかったが、それでも4万3000人を動員した。おおまかには、その中の1人が100万円をゲットするような確率だ。

「投信」なら10万円が40年目には70万円に

 投資はどうだろう。株式市場は“鉄火場”と呼ばれることもあるし、ギャンブル色は強い。

「株式投資は取引所や証券会社に支払う手数料こそ発生しますが、基本的に胴元はいません。その分、儲けやすいとはいえますが、一方で大損する危険性は潜んでいます。倒産したら株の価値はゼロになりますからね」(市場関係者)

 新NISAで注目の「オルカン」(オール・カントリー=全世界株式)などインデックス型投信(日経平均など特定の指数に連動)の平均的な利回りは5%程度といわれる。10万円を預け入れた場合、1年後は10万5000円に過ぎないが、複利(利子を再投資)で運用すると5年目は約13万円になり、10年目は約16万円。20年目に26万円を超え、30年目は約43万円になる。40年目までいくと約70万円だ。

 ダービーで当てた一部を投信で運用する。これでリスク管理もバッチリ?