8日に登録抹消された巨人・大城卓三(31)に対する阿部慎之助監督(45)の評価はそれほど高くはないことは知られた話だ。

 大城卓は昨季、自己最多の134試合に出場し、打率.281、16本塁打、55打点とキャリアハイ。しかし、昨オフに年俸は5000万円増の1億3000万円に大幅アップした一方、今季国内FA権を取得予定というのに、球団から提示された契約は「複数年」ではなく「単年」だった。監督交代で評価と立場が一変したことで、いよいよFA権行使の可能性が増すと見られている。(【前編】からつづく)

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 別の球界関係者がこう言った。

「他球団の評価は高い。大城がFA市場に出たら、セでは広島やパも含めて正捕手が定まらない球団は間違いなく獲得を検討する。今年は各球団の複数の正捕手がFAになるから、市場が活発化するかもしれません」

 先月13日に国内FA権の資格取得条件を満たした侍ジャパンの正捕手、ソフトバンクの甲斐拓也(31)もそうだ。

「複数年契約を断って現状維持の年俸2億1000万円の単年契約で更改しています。育成契約からはい上がった苦労人だけに、球団への恩義はあるでしょう。ただ、今は生え抜きの代表格。年俸面で近藤(5億5000万円)や山川(3億円)といった他球団から獲得したFA補強組や外国人選手を厚遇する一方で、生え抜きに冷たいといわれる球団に思うところはあるともっぱらです」(前出の球界関係者)

 年俸は2億円超だけに、手を挙げられるのは一部の球団に限られるだろうが、FA市場に出れば、注目を集めるのは必至だ。

 他にも中日の木下拓哉(32)、阪神の坂本誠志郎(30)が先月中に国内FA権の資格取得条件を満たした。

 木下が「(シーズン)終了後にしっかりと考えたい」と言えば、阪神の坂本も「全部終わってから考えたい」と権利の行使に含みを持たせた。さらに海外FA権を保持している阪神の梅野隆太郎(32)は今季で3年契約が終了するだけに、去就は流動的である。

 今オフは侍ジャパンの大城卓、甲斐を中心とした「FA捕手大シャッフル」が起こりそうだ。