ドジャース大谷翔平(29)は本塁打王争いで2位のオズナ(ブレーブス)に5本差をつけ、早くも独走態勢に入ったかに見える。

 しかし、「大谷には目に見えない敵がいますから」と、米紙コラムニストのビリー・デービス氏は米国人の根底にあるアジア人への猛烈な敵愾心を指摘する。【前編】から続く。

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 そんな差別感情は球宴のファン投票にも表れている。球宴1次投票最終結果を見ると、ナ・リーグの最多得票は一塁のハーパー(フィリーズ)の327万7920票、2位は三塁のボーム(フィリーズ)の317万5134票。DHの大谷は277万7173票で3番目だった。

 フィリーズは目下、54勝29敗で勝率.651はメジャートップ。とはいえ、本塁打はもちろん、打率でも大谷の後塵を拝する2人にこれだけの得票があったのは本拠地のフィラデルフィアであることと、米国人の気質と関係があるという。

「フィラデルフィアは『city of brotherly love』(兄弟愛の都市)と呼ばれて同胞に対してはめっぽう手厚いけれど、よそ者にはかなりシビアな都市です。フィリーズの本拠地のシチズンズバンクパークのアストロズ戦に行ったことがあるのですが、球場の便器にはアルトゥーベらアストロズの主力選手のベースボールカードが置かれていた。ファンがカードに向かって小便をする光景には、そこまでやるかと仰天しました。フィラデルフィアはかつて米国の首都で、典型的な米国人気質の都市。本塁打を量産する大谷に対して、冗談じゃない、ハーパーこそパワーヒッターだというファンの意識が投票を後押ししたのでしょう」(ビリー・デービス氏)

 大谷に対して今後、そういった米国人の潜在意識が働く可能性は否定できない。それは審判の判定に限らない。

 例えば30日は1敬遠を含む2四球。6月は1死球、4敬遠を含む22四死球と、本塁打をはるかに上回るペースで歩かされている。大谷は1番打者を務めるようになってボールの見極めが良くなったのは事実だが、ハナから勝負を避ける投手もいるわけで、今後はいま以上にそんな連中が増える可能性もあるのだ。

 審判の判定や四球禍によって、ボール球を追いかけるようになれば、それこそ好調な打撃を崩しかねない。問題の根は深いだけに大谷の今後が心配だ。

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 この頃、大谷は理不尽ともいえる「ストライク判定」に苦しめられている。どうやら米国人の根底にはアジア人に対する“猛烈な敵愾心”があり、大谷はその餌食になっているというのだ

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