＜大相撲夏場所＞◇初日◇12日◇東京・両国国技館

新三役の小結大の里（23＝二所ノ関）が、横綱照ノ富士（32＝伊勢ケ浜）を初めて破り、波乱の初日の主役になった。新入幕の初場所に続く2度目の挑戦を、すくい投げで制した。これにより初日は1横綱、4大関全員が黒星発進。初日に5人以上の横綱、大関が総崩れするのは昭和以降初。昭和以降2位のスピード出世となる所要6場所で新三役に昇進した大の里が、近い将来の世代交代を予感させる殊勲星を挙げた。

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琴ノ若改め琴桜も、悪い流れにのみ込まれた。元横綱の祖父と同じしこ名を継いで上がった初日。「琴桜〜」の大声援の中、立ち合いで左差しを狙った。大栄翔の攻めに耐え、一時は土俵際まで追い込んだ。しかし突き押しで逆襲されて黒星発進。「切り替えます」と短い言葉を絞り出した。

取り組み前には霧島、貴景勝が敗れていた。看板力士として土俵に上がったが、負の連鎖は止められず。1横綱、4大関が初日に全敗するのは、昭和以降で初めての屈辱となった。

新大関だった春場所は父のしこ名「琴ノ若」で10勝5敗。新大関としては2桁白星は合格点だが、満足はしなかった。当初の予定通り、横綱を目指していく覚悟を込めて「琴桜」に改名した。「そこをつかめる地位のところまで来られたから、しっかり鍛錬をつんで」と決意を口にしていた。

この日、横綱、大関で琴桜だけが取材に応じた。悔しさをこらえ、ぽつりぽつりと言葉を口にした。改名のプレッシャーについては「関係ないです」とし、声援の大きさにも「集中しているんで」。そして最後に「初日なのでしっかり切り替えます」。その言葉は、横綱、大関の全員に当てはまる。【益田一弘】