横浜F・マリノスのアジア初制覇へ、FW宮市亮(31)が先手必勝のカギとなる。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝、アルアイン(UAE)との第1戦は11日に日産スタジアムで行われる。第2戦が敵地となるだけにホームの勝利が求められるところだ。キューウェル監督の信頼も厚いスーパーサブは、今季公式戦16試合無得点。それだけに「チャンスが来たら絶対に仕留める」と面目躍如のゴールと先勝を誓う。

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快晴の空のもと、いつも明るい宮市の笑顔がより輝いた。「アジアNO・1を決める大きな大会。この一番でプレーできるのはうれしい。喜びをかみしめてやりたい」。ひざの大けがを乗り越え、ここに立つ。決戦を翌日に控え、気負いはなくリラックスした様子で意欲を口にした。

ホームアンドアウェーで争う決勝戦。第1戦で何かが決まるわけではないが、決着の舞台をアウェーに移す横浜にとっては先勝が求められるところ。強敵アルアインとあって1点勝負が予想される。後半の勝負どころで起用されそうな宮市の出来がポイントになる。自分の役割を自覚するからこそ「第1戦を勝ちきることが大事」と口にした。

アルアインは今大会12試合で28得点と高い得点力を誇る。準々決勝でC・ロナウドのいるアルナスル、準決勝で優勝候補だったアルヒラルを打ち破ってきた。11得点を挙げるモロッコ代表FWラフィミ、左利きで鋭い突破力を持つパラグアイ代表MFロメロ、負傷で出場が危ぶまれているが超攻撃的左サイドバックのブラジル人エリキもいる。ただスペースを突くスピードを持ち味とする宮市には格好の餌場となる。「出てくる背後を狙う。裏返せばチャンスになる」。5万人以上の大観衆が見込まれており、地の利も力とする。

今季はここまで公式戦16試合で無得点。これまで「誰かが得点すればいいので」と泰然自若と構えていたが、決戦前日の言葉は変わっていた。「クラブの歴史を変える一戦。本当に次がないので、チャンスが来たら絶対にモノにしたい」。ヒーローは遅れてやってくる。【佐藤隆志】