アイントラハト・フランクフルトの元日本代表MF長谷部誠(40)が17日、今季限りで現役引退すると発表した。ブンデスリーガの同クラブで節目の10季目を全うすることになる2023−24年、大きな決断。日本時間の午後8時30分からドイツ・フランクフルト市内で会見を開き「今シーズンで現役生活を終えたい」と表明した。

報道陣に「お集まりいただき、ありがとうございました」と感謝し「今日、発表したのは最近よく聞かれていたからです。なので皆さんにお伝えしたかった。でも、まだ全てが終わったわけではない」と今季の残り1カ月、チームとして欧州カンファレンスリーグ出場へ、現在の6位を「何としても確保したい」と戦い抜く覚悟を示した。

その上で「来季も国際大会に挑むアイントラハトをソファーに座って観戦したり、素晴らしいサポーターたちとともに旅をしながらスタンドで観戦できれば、とてもうれしい。そのためにブンデスリーガの終盤戦に集中して、目標を達成したい」と誓いを立てた。

静岡・藤枝東高から2002年に浦和レッズ入り。06年1月にデビューした日本代表では10年FIFAワールドカップ(W杯)南アフリカ大会から14年ブラジル、18年ロシアと3大会連続でキャプテンを務めた。主将として出場した国際Aマッチ通算81試合は歴代最多を誇る。

クラブでは08年にブンデスリーガのウォルフスブルクへ。ニュルンベルクを経て14年にEフランクフルトへ移籍した。ここでも主将を任されるなど信頼され、ボランチやリベロとして長く活躍。21−22年には欧州リーグ制覇も成し遂げた。

J1通算149試合12得点。ブンデスリーガでは383試合7得点。現役のレジェンドになっていた。

代表は18年のW杯ロシア大会を最後に引退。通算114試合目となった決勝トーナメント1回戦ベルギー戦(2−3)にボランチでフル出場した後、インスタグラムで日の丸を背負う戦いの第一線からは退くことを報告した。

初招集から12年半、うち主将は8年。南ア大会の直前、DF中沢佑二主将の後任として当時の岡田武史監督から指名された。以来3大会連続で腕にキャプテンマークを巻き、ロシアでは当時の日本人最多タイとなるW杯11試合目を迎えた。

その当時は「年々、背負うものが増えて大変だったけれど、それ以上に誇りが大きかった。人間としても成長させてもらった」と完全燃焼していた。

8年に及んだ主将のキャリアを終え、肩の荷を下ろしても、最後のW杯で得た収穫を問われると「勇気を持った戦いをして、国民の期待を取り戻せたこと」。最後までキャプテンらしかった。

この日は、会見の約3時間前、サプライズ的に40歳長谷部がクラブを通じて会見を告知。日本のSNSも騒然としていた。

「ついに引退なのかな」「普通なら引退会見かってなるけど長谷部だと延長会見の可能性も高いという」「去年はもう引退かと思ったのに現役続行するっていう記者会見だった長谷部さん、今年はどうなんだい」など相次いだ投稿が、注目度の高さを物語っていた。

その中で始まった会見では、記者会見台のバックに「Danke(ありがとう)Makoto」とあり、スパイクを脱ぐ覚悟を感じ取ったファンも多かったようだ。

◆長谷部誠(はせべ・まこと)1984年(昭59)1月18日生まれ、静岡県藤枝市出身。藤枝東から02年浦和に入団。08年1月からドイツのウォルフスブルクに移籍。08−09年にリーグ優勝。13年夏にニュルンベルク、14年夏にフランクフルトへ移籍。日本代表は06年に初選出。国際Aマッチは114試合2得点で、主将として81試合出場は歴代最多。W杯は10、14、18年と3度出場。16年7月にモデルの佐藤ありさ(27=当時)と結婚した。180センチ、72キロ。