◆西武3―0オリックス(3日、ベルーナドーム)

 プロ初登板初先発した西武のドラフト1位ルーキー、武内夏暉投手(22)が7回1安打無失点と圧巻の投球を披露し、プロ初勝利をマークした。圧巻のデビューに 母校国学院大の鳥山泰孝監督(48)も喜んだ。所用で中継を見られなかったが「ずっと気になっていた。7回1安打、すごいですね」と結果を知って驚きを隠せなかった。

 

 鳥山監督は5年前、ハイレベルな東都リーグでの戦いを見据え「ドラフト1位になれる、制球力の高い大型左腕はいないか」と全国を探し、知人から武内を紹介された。「体が大きいにもかかわらずコントロールが良く、変化球が取れた。体の使い方はぎこちなかったけど、指先の感覚が良かった」。それでも野球に取り組む情熱を持って4年間やり遂げられるか半信半疑だったという。それでも 体づくりや食事の改善といった自己管理の必要性を伝えると、次々と吸収し、黙々とやり通していく姿に期待は膨らんだ。

 2年秋の明治神宮大会2回戦、九産大戦で大学初先発し、3安打完封勝利。一躍注目を浴びたが、鳥山監督は「まだプロに行くんだという本気のスイッチは入っていなかった」。3年春に左脚を痛めて結果を残せなかった後、本人に課題を書かせて取り組むよう促したことで意識が変わったという。

 「制球力も良いけど、彼の長所は芯の強さ。勝負に向き合い、逆境でも自分のペースで踏ん張れる」。確信したのは昨年10月のドラフトで3球団競合の末、西武から1位指名された後。年末まで休むことなく練習した。「秋よりも12月の方がキャッチボールは良かった。準備をしっかりやっていたから今回の良い投球につながった」と称賛した。

 武内はプロ入り後も決め球の改良だけでなく、捕手からのサインを確認するタイミングや間合いの取り方など、プロに必要な課題にも一つ一つ向き合い、クリアしていった。試合後、大舞台で冷静に力を出せる原動力を問われると「しっかりと準備をやってきているので、不安はあまりなかった。準備力です」と断言。大学での教えを実行した教え子に鳥山監督は「球団の役に立ち、その後は日本を代表し、野球ファンから愛される投手になってほしい」とエールを送った。(末継智章)