◆日本ハム4―4ソフトバンク(17日、エスコンフィールド北海道)

 塁上では複雑そうな表情を浮かべていた。この日から6番に戻った栗原だ。延長11回。1死満塁の勝ち越し機で打席が回ると、真ん中の初球スライダーを打ち損じた。

 幸いにも打球が弱く、相手も前進シフトを敷いていなかったことでの二ゴロ併殺崩れの間に勝ち越し点をもたらしたが、どうせならきれいな安打や犠飛で打点を記録したかったというのが本音ではなかったか。そんな思いが見て取れた。

 結局、守護神オスナが同点2ランを被弾するなどして引き分けに終わったとあって、試合後も栗原は浮かない表情のままだった。延長12回に記録した自身の今季初失策も影響したのではなかろうか。致し方なしだ。

 ただ「幻の決勝打」となった延長11回の二ゴロは前向きに捉えていいのかもしれない。その打席が回る直前。1死二、三塁の状況で、相手は自身の前を打つ5番近藤との勝負を選択していた。

 結果的に2ボールとなったことで近藤は申告敬遠され、1死満塁で自身に打席が巡ってくる形となったが、それだけ相手が「今の栗原」の状態を警戒したからこその選択だったに違いない。

 打率はいまだ1割台と低調だが、この日も適時打を含む2打点と3試合連続マルチ安打を記録した。「状態は上がっている」。小久保監督も近藤の後ろを打つ大事な6番打者の復調に手応えを感じていた。

(石田泰隆)