◆楽天3―7ソフトバンク(15日、楽天モバイルパーク)

 先発の石川柊太が初回2失点。その後も立ち直る気配を見せなかったことから小久保監督も連敗を覚悟しただろうが、四回途中から無失点リレーを決めた中継ぎ陣と打線の奮起もあり、今季12度目の逆転勝ちだ。

 これは12球団トップの数字。首位快走を裏付けるデータの一つだが、何より大きかったのは二回無死二、三塁のピンチを無失点で切り抜けた粘り強さにある。あそこで1点でも失い、リードをさらに広げられていれば、その後の試合展開も変わっていたことだろう。

 そこで中村晃だ。この日は4番山川が指名打者に入ったこともあり、4試合ぶりに一塁手として先発出場。これぞ4年連続ゴールデングラブ受賞という守備を見せたのが、その二回のピンチの場面だった。

 9番小深田の高く弾んだゴロを前進してショートバウンドですくい上げると、その勢いのまま本塁へジャンピング送球。俊足の三塁走者辰己をアウトとし、3点目を与えなかった。「日頃の練習成果です」。芝と土の境目という難しい場所での打球処理だったにもかかわらず、サラリと振り返ったところに、守備名人としての自負を感じた。

 四回の打席では1点差に迫る適時打も放った。チーム事情から今季の役割は主に代打だが、やはり覇権奪取に欠かせない。その活躍をもっと見たいと思わせる選手だ。

(石田泰隆)