去年3月、新潟県三条市の自宅で息子を包丁で刺し、殺害した罪などに問われている男の裁判員裁判が15日、結審しました。検察側が懲役14年を求刑した一方で、弁護側は無罪を主張しました。

去年3月、三条市の自宅で40代の息子を包丁で刺して殺害し、70代の妻も殺害しようとした罪に問われているのは三条市の無職・阿久津正美被告(73)です。

阿久津被告は初公判で起訴内容を認めた一方、裁判では犯行当時、阿久津被告が心神喪失や心神衰弱の状態にあったかどうか、責任能力の有無などが争点となっています。

15日に開かれた裁判で、検察側は「被告人は犯行前に遺書を作成し葬儀用の現金を用意するなど、善悪の判断能力があり完全責任能力は認められる」などとして懲役14年を求刑。

一方の弁護側は「被告人は事件前から物価高などの経済的不安で不眠や抑うつ気分が続き自殺を考えるようになっていた。もともとの人格に基づく判断は残っていなかった」などとして無罪を主張しました。

裁判長から最後に何か言いたいことはあるかと問われ、「ありません」と答えた阿久津被告。

判決は5月20日に言い渡されます。