新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類になったのが2023年5月8日。1年が経つのを前に街を歩くと、消えたものや復活したもの、新たに増えたものが見えてきました。ある酒造会社は、需要が落ちたコロナ禍の必需品を今も製造しています。

■「いつの間にか」…消えた検査センター

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4月12日、東京・渋谷に向かいました。かつて長蛇の列ができていたPCR検査センターは、半年ほど前の昨年10月、ケバブ店に変わりました。

新宿にあった検査センターも、3月26日にオープンしたラーメン店に。

40代会社員は「あちこちにあったのが、いつの間にかなくなって…」と言います。

新型コロナが5類に移行して約1年。消えつつあるものがあれば、復活を遂げていたものもあります。

■デパ地下で3000円の高級肉を試食

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東京・千代田区の大丸東京店。ここのデパ地下には、弁当や総菜など、100以上の店舗が並んでいます。

11日に訪ねると、「いらっしゃいませ! これから試食販売を行います」というスタッフの声が響いていました。1枚のステーキが細かくカットされています。精肉店ではこの日、4年ぶりに試食が復活しました。1枚3000円する高級肉の試食に、客が舌鼓を打ちます。

50代主婦

「おいしい。そういえば、しばらくなかったですね。試食することが」

40代主婦

「試食があるんだって。お得感がかなりあります」

■店側も「売り上げアップ」期待

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同じくデパ地下の青果店では、旬の食材をアピールしていました。スタッフが「食べなきゃ損ですから、アスパラ」と呼び込みます。

50代の客

「だんだんコロナ前に戻ってきたなという感触はあります」

少しずつ復活している、デパ地下の試食。大丸東京店では、不定期開催で10店舗ほどが行うまでになりました。同店の食品担当・浅川幸治さんは「お客さんとコミュニケーションしながら自信をもって(商品を)紹介できる」と語ります。

私たち消費者にとってもうれしい試食。店にとっても、売り上げアップにつながると期待されています。

■“夜の街”に戻ったにぎわいと変化

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東京・新橋の立ち飲み酒場「Touch know me」でも変化が見られました。ある夜に店を訪ねると、女性がひとりで入っていきました。店内には、他にもひとりで飲みに来ている女性の姿がありました。ワケを聞いてみました。

40代女性

「今ほら、パワハラとか…。誘っちゃいけないみたいな。上司が。『ふらっと帰り飲もうよ』はなくなりました」

気軽に誘えなくなったといいます。さらに、30代の客からは「コロナになってから、誰かと飲みに行くっていうことが減っちゃった」という声も聞こえてきました。

店によると、女性の“ひとり飲み”が最近増えています。そんな変化もありつつ、酒場はにぎわっています。

■コロナ禍の必需品は注文が減少

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茨城・水戸市にある老舗の酒造会社「明利酒類」を訪ねました。香り豊かで口当たりのいい日本酒や、本格焼酎、梅酒など約600種類の酒を製造しています。この1年で売り上げは伸びているといいますが、中には注文が減っているものもあります。

それは、コロナ禍の必需品だったものです。常務取締役の加藤喬大さんは「当時の売り上げと比較すれば需要も少なくなってきてはいるんですけれども…」と言います。社会貢献のため工場を新設して作りました。

斎藤佑樹キャスター

「アルコールスプレーとか?」

陣内貴美子アナウンサー

「試飲の紙コップ?」

■「メーカーの使命」…地域のため製造

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その必需品とはアルコール消毒液です。感染拡大当時、消毒液は薬局などで品薄となりました。そこで今から3年前、酒蔵でアルコールを扱う酒造会社の強みを生かし、消毒液や除菌用アルコールの製造販売を始めました。

加藤常務

「社会貢献できないかと思いまして、1 億円弱の設備投資をして工場を立ち上げました」

ただ、コロナが5類になったことで全国からあった注文は徐々に減少。それでも、「社会から求められているものを作っていくのはメーカーの使命だと思っています」と加藤常務は言います。

地元の公共施設や学校などからの需要が依然としてあるため、今後も地域のために製造を続けていくということです。

(4月16日『news every.』より)