今年も「梅」の季節ですが、地域によっては収量が3割ほどとなるなど、今年は全国的な不作になっているようです。熊本県内の状況を、くまもと県民テレビが取材しました。

県内有数の梅の産地、熊本市西区河内町の芳野地区。今が収穫の最盛期のはずですが…。

JA熊本市梅部会・田中博文部会長「こんな極端に少なかった年は初めて」

阿蘇市でも…。

梅農家・山部賢次さん「深刻すぎて、あきれて。もうしょうがないと諦めています」

各地で梅が不作になっているのです。

梅を育てて16年になる山部賢次さんです。高冷地を生かした阿蘇市の梅は他の地域より収穫時期が遅いのが特長ですが、今年はあっという間に終わってしまいました。

収量は例年の10分の1ほど。小梅にいたっては去年130キロ出荷したのに対し、今年は2キロ足らずしか取れていません。

一体、何が起こっているのか。

JA熊本市梅部会・田中博文部会長「今年は1月が、ものすごく暖かくて」

大きな原因の一つが、暖冬です。今年の冬は気温が高く、花が通常より早い1月に開花しました。ところが、その後に冷え込み、受粉のために必要なハチが活動しなかったのです。

今年は、もともと裏年だった上に、強風で収穫目前の実が落ちるなど悪条件が重なりました。

例年、3トンほど収穫できる熊本市の田中博文さんの畑。今年は500キロに届きませんでした。

JA熊本市芳野支店・高木太郎さん「梅は6月入ってからという認識があるかと思うが、いざ買おうとしたら梅がない状況になってしまうのでは」

本来、旬であるはずの梅。阿蘇市の直売所では、代わりにイチゴが並んでいました。梅を探す人は…。

買い物客「お店を何軒か回って、やっと(梅を)集めたような状態」「夏場の疲れとかにもいいっていう。ないと寂しいですね」

熊本大同青果によりますと、県内の1キロ当たりの梅の販売価格は、今年は1300円前後で、例年の2.5倍ほどとなっています。

JA熊本市梅部会・田中博文部会長「待っていてくれる人たちを、なるべく裏切らない仕事をしたい」

JA熊本市梅部会は今後、受粉しやすい品種を導入するなど、対策を考えたいとしています。