「ふるさと納税」の納税関連サイトのCMが頻繁に流れる昨今、「ふるさと納税を知らない」という人はほとんどいないだろう。しかし、「なんだか面倒くさそう」といった気持ちから、実際にふるさと納税を利用していないという人も多いかもしれない。事実、利用率は4割弱にとどまっているという調査結果もある。そんな状況に、主婦投資家として投資やお金についての情報を発信している「りりな」さんは「もったいない」と語る。

■自己負担額2000円で2000円以上の返礼品がもらえる
「ふるさと納税」とは、自分が生まれ育った故郷や応援したい自治体を選んで寄附できる制度のことです。寄附すると、2000円を超える金額については所得税の還付、住民税の控除が受けられ、寄附した自治体からは寄附金額の30%以内に相当する返礼品が送られてきます。

つまり、税金を先払いして自己負担額2000円で、2000円以上の価値がある返礼品がもらえるのです。この返礼品が、ふるさと納税のお得な部分です。なお、寄附できる金額は、年収や家族構成などによって異なります。

「納税」や「寄附」という言葉によって難しく感じる人もいるかもしれませんが、寄附を「購入」に置き換えるとイメージしやすいかもしれません。ざっくりいうと、自治体の返礼品を寄附金額で「購入」すると、購入した金額から2000円を引いた金額の税金が翌年戻ってきて、しかも返礼品がもらえるというイメージです。

私がはじめてふるさと納税をしたのは、結婚前に会社員をしていたときのこと。先輩から「ふるさと納税をすると、税金の面でお得だし、家電なども手に入るよ」と聞いて、「なにそれ!」と興味を持ったのがきっかけでした。家電などというとものによっては高額なものですし、興味を持ついいきっかけになりました。

■年収500万円、独身の会社員はどれだけお得?
ただ、いくら「ふるさと納税はお得だ」といっても、未経験者にとってはどれくらいお得なのかイメージしにくいかもしれませんね。そこで、「年収500万円、独身の会社員」のケースを示してみます。

その人がふるさと納税を利用しなければ、翌年に約31万円の住民税を支払うだけです。一方、ふるさと納税を利用すると、支払う税金額は同じ約31万円ですが、返礼品分の約1万6300円分がお得になるのです。

もう少し詳しく説明しましょう。年収500万円でふるさと納税ができる上限額を、総務省ふるさと納税ポータルサイトで調べると6万1000円です。そして、6万1000円を寄付すると、自己負担額2000円を引いた5万9000円が翌年の住民税から控除され、25万1000円になります。

6万1000円(寄附)−2000円(自己負担額)=5万9000円(税金控除額)
翌年の住民税31万円−5万9000円=25万1000円

そして、6万1000円の30%程度である約1万8300円相当の返礼品が届きます。自己負担額の2000円を引いても、1万6300円分がお得になるのです。

■ふるさと納税の基本的な流れ
ふるさと納税のシミュレーションは、「さとふる」「ふるなび」「楽天市場ふるさと納税」などの納税関連サイトで簡単にできます。それにより、寄附金額の上限額を把握しましょう。そうしたら、納税関連サイトや自治体のホームページで返礼品を選び、サイトから寄附(購入)します。

最近の私のお気に入りは、山形県天童市の「つや姫ジェラート」。旅先で食べて本当においしかったのですが、ジェラートですから旅先から持ち帰ることは簡単ではありません。かといって通販で購入すると、けっこうな送料がかかってしまいます。でも、ふるさと納税の返礼品であれば送料はかかりませんから、見つけたときは本当にテンションが上がりました(笑)。今は毎年リピートしています。

そして、「ワンストップ特例制度」を利用するなら、寄附するタイミングで申請書の送付を依頼しましょう。ワンストップ特例制度とは、会社員が対象で、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる便利な制度です。

また、寄附は自己負担金額2000円で何回もできます。自治体もひとつではなく複数でもOK。時期も同じではなくて、1月〜12月まで好きなときにわけても問題ありません。私の場合、1月〜10月のあいだに数カ所の自治体に寄附して、12月に今年の年収のめどが立ったら、さらに追加して上限額ぎりぎりになるまで調整しています。

また、寄附には楽天市場を利用しています。楽天市場で楽天カードを利用して寄附することでポイントがつき、私の場合は自己負担の2000円分は、ポイントによって実質ゼロ円になっています。

その後、返礼品の他、ワンストップ特例制度の申請書、確定申告する際に必要な寄附金受領証明書が送られてきます。書類が届いたら、ワンストップ特例制度か確定申告を選んで手続きをします。そうすることで、税金の控除を受けられます。

最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、こんなにお得な制度はなかなかありません。ぜひ活用してほしいと思います。

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹