旅行や帰省などの際、職場にお土産を買っていこうか悩むことはありませんか? 読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、旅行に出かけるたびに職場へ欠かさなかったお土産に対し、同僚から「旅行を自慢してるみたい」とケチを付けられたというトピックが寄せられています。せっかくの厚意を踏みにじられた投稿者の女性は、職場へのお土産を一時休止し、「お土産買っていくのやめた方がいい?」と発言小町で尋ねました。

投稿した「碧い水」さんは、夫婦で毎月2回ペースで旅行に出かけ、そのたびに職場へのお土産として、その土地の名産品やサービスエリア限定の菓子などを購入していました。お土産は「日付」「1人何個」「行った場所」「お土産のちょっとした紹介」「持参者の名前」などを記したメモを添えて、職場のいつも決まった場所に置くそうです。

ところが、同僚の1人が「旅行を自慢してるみたい」と言っているのを耳にしたのです。そのことを夫に伝えると、「土産やめたら? 俺も毎回買いすぎと思っていた。そんなこと言われて買ってらんねぇじゃん」と自粛を勧められました。トピ主さんは、お土産を食べて「おいしいね」と喜ぶみんなの笑顔や、疲れが癒やされるような雰囲気が好きだったといいます。

職場にお土産を買うか、買わないか――。このトピへの関心は大きく、180件を超える反響があり、賛否それぞれの意見が寄せられました。

「これみよがしに月に2回もお土産を持参するのは、ある意味ハラスメント」とかみついた「さなぎ」さんは、「お気楽に『お土産のちょっとした紹介』なんて書かないで、その分、仕事しろって思っちゃいます」と本音をぶつけます。お土産に不快感を抱くのは、「私の職場でも頻繁にお菓子配り、お土産配りをしている女性がいます。仕事ができなくてうんざり」だからとか。

「変な習慣を作らないでほしい」と訴えた「うし」さんは、「もらってばかりだと、『協調性がない』だの言われるので、せっかくなくなった昭和の悪習『お土産』とか『バレンタイン』が復活させられるのは迷惑です」とキッパリと拒みます。さらに、「角が立つのではっきりと言う人は少ないと思いますが、『こんなことされると同調圧力で自分もお土産買わないといけないので迷惑!』と思っている人が多いと思いますよ」と言い、“物言わぬ多数派“がいることを明かします。

職場へのお土産自体は否定しないものの、お土産を渡す際のメモ書きが気になるというコメントも目立ちました。

「kurukuru」さんは、「お土産を買うのは自由ですが、もらう側に自由がないんですよね。『1人何個まで』なんて決められたら、もらいたくもないのに、もらわなきゃいけないみたい。笑顔でありがとうって言わなきゃ、失礼だとか言われそうだし」と心理的重圧を感じるといいます。「たいして親しいわけでもないのに、そんな頻繁にやられたら、うっとうしいと思う人がいるのもわかります」とも指摘しました。

「自慢とは思わないけどちょっと押しつけがましい」というタイトルでコメントを寄せた「カリン」さんも「うれしくないわけではないんだけど、微妙に度を越している感はあります」と難色を示します。「月2回は頻度が高い。『1人何個』ってノルマでしょうか。欲しくなくてももらわなきゃダメ? 『お土産のちょっとした紹介』とかあったら、なんか話題にしなきゃいけない気がする。ていうか旅行の詳細などを聞かれるのは苦手、ならそのメモ必要なくないですか」

職場へのお土産を良く思わないこうした意見がある一方、職場の“清涼剤”として歓迎する意見もあり、トピ主さんの厚意を否定する同僚の考えに疑問を抱く人もいます。

「私は嬉しい派」というタイトルで書き込んだ「凛子」さんは、お土産を歓迎する一人。「行ったことのない観光地の食べたことがないお菓子や、行ったことがあり、おいしかったのでもう一度食べたかったお菓子が置いてあったら、とてもうれしいです」

「私はお土産はうれしいし、回数が多くても自慢とも思いません」とトピ主さんを支持するのは「エテポンゲ」さん。「トピ主さんレベルになると、あげるのが好きな人で『物の見返り』は求めていないのがわかるので、プレッシャーも感じず、ありがたく受け取ります」とつづり、「トピ主さんが好きで買いたければ続けてもいいと思います。ただ、メモは最低限に」と助言も忘れません。

職場でのお土産がうれしいという「お菓子以外も大歓迎」さんも、「お土産いらない人って、臨機応変さや大人な対応に難あるのかなと思った。だって、いらないならそっと横流しすればよくない?」として、「要らない派」の意見に疑問を投げかけます。「お土産否定派って、(お土産を)喜んでいる人のことは考えないのかな? 私なら苦手なものでもお礼を言って持ち帰り、家族や家族の友達とかに食べてもらう」と、厚意を踏みにじらない配慮をするそうです。

職場へのお土産を巡っては、出張が多い部署ではお土産を買う慣例が負担になっているという話を聞くことがあります。年賀状やお歳暮などの虚礼廃止の流れを受け、職場へのお土産を禁止した企業もあります。お土産を選ぶのに手間取って、せっかくの旅行を楽しめなかったというのでは本末転倒ですね。

「職場の方に必ずお土産を買うのって趣味の押しつけだと気が付きました」。旅行が趣味の「マスカット」さんは、「勤め先の方々の趣味を見たら分かりますよ。例えば、『コンサートに行ってきたから』とオーケストラの何かを配っていますか? 『ブランドのバッグを買ったのよ』と見せながらブランドの小物を配りますか? コンサートに行くのもブランドのバッグを持つのもその方の趣味なんですよ」と持論を展開。「トピ主さんのお土産の出し方は趣味の押しつけ、趣味の自慢と映っているのでしょう。トピ主さんの趣味は旅行ですから、行った先で十分楽しんで完結しましょう」とアドバイスしています。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)