サッカーでは、シーズンを通して着用するものとは別に、着用試合を限定する「特別ユニフォーム」を作るチームも多い。

大切な記念に合わせてリリースする「周年記念もの」や、何らかのコラボレーションなど、特別ユニといってもその種類は様々。多くは1試合限定での着用となるため、キットサプライヤーやスポンサー的にも着用試合は勝利で飾りたいところだろう。

ところが今季は、特別ユニを着てホームで敗れるチームが目立つ。そして、負けたチームは“いつもとは異なる色”のユニフォームを着ていたケースが多い。その中から、ここでは6チームをご紹介しよう。

ナポリ





ナポリ 2023-24 EA7 リミテッド・エディション ユニフォーム

着用試合:セリエA第30節

試合結果:ナポリ 0-3 アタランタ



ナポリは"Everywhere Jersey"と名付けたベージュ色の特別ユニフォームを発表。3月30日に本拠地スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナで行われたアタランタ戦で着用したが、0-3で完敗を喫している。

最近は特別ユニフォームを乱発するナポリ。このユニフォームは、ホームタウンの歴史的な海洋文化と胸スポンサー企業「MSCクルーズ」を讃えたもので、前面の地図にはMSC社のクルーズ船が寄港する場所を記している。

言わばスポンサーに向けたユニフォームで大敗したわけだが、ホームでベージュ色は選手も違和感が大きかったか。どちらも海に関係するのであれば、ホームユニフォームと同じブルーを使ったほうが良かったかもしれない。

グラスホッパー





グラスホッパー・チューリッヒ 2023-24 Capelli セクセロイテン 限定ユニフォーム

着用試合:スーパーリーグ第32節

試合結果:グラスホッパー 0-1 ルガーノ





グラスホッパーはチューリッヒ伝統の祭り「セクセロイテン」を祝う限定ユニフォームを発表。4月13日に本拠地レッツィグルンド・シュタディオンで行われたルガーノ戦で着用するも0-1で敗れた。瀬古歩夢はフル出場を果たしている。

白一色にエンブレムやメーカーロゴを金で華やかに飾る優雅なデザインで、白は祭りに登場するベーグと呼ばれる“藁で作った巨大な雪だるま人形”をモチーフとしたもの。

普段は青白半々デザインのユニフォームを着るグラスホッパーだが、歴代でも真っ白は極めて珍しい。ホームスタジアムで純白は選手も奇妙な感覚に襲われたかもしれない。

ウニオン・ベルリン





ウニオン・ベルリン 2023-24 adidas アウェイ “スタートレック” 特別ユニフォーム

着用試合:ブンデスリーガ第28節

試合結果:ウニオン・ベルリン 0-1 レヴァークーゼン



ウニオン・ベルリンは、通常のスポンサー「Paramount+(パラマウントプラス)」ではなく、日本にもファンが多いアメリカの人気SFテレビドラマ『スター・トレック』シリーズに登場する“デルタ”ロゴを掲出。レヴァークーゼン戦で着用した。

これはパラマウントプラスでスター・トレックのシリーズ最新作が配信されるタイミングでの、一種のコラボレーションだった。デザイン自体はアウェイユニフォームの胸ロゴを変えただけなのだが、不思議なのは「なぜホームゲームでアウェイ着用だったのか」という点だ。

いつもは赤いユニフォームを着る本拠地シュタディオン・アン・デア・アルテン・フェルステライで白いユニフォームは、選手もやり難かったかもしれない。

ドルトムント





ボルシア・ドルトムント 2023-24 Puma スタジアム50周年記念 ユニフォーム

着用試合:ブンデスリーガ第28節

試合結果:ドルトムント 0-1 シュトゥットガルト



本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクの開場50周年を記念した特別ユニフォーム。シュトゥットガルト戦はその50周年記念試合として開催された。

試合前にはスタンドのサポーターが鮮やかなコレオで50周年を祝わい、スタジアムの雰囲気は最高潮。絶対に負けられない一戦だったはずだが、結果は0-1で敗れている。

ドルトムントは昨季、真っ黒な特別ユニフォームを着てホームでヘルタ・ベルリンに勝利している。その時に比べれば、ホームユニフォームと共通する今回のキットカラーは違和感も小さかったように思うが、やはり微妙な感覚だったのだろうか。

スタッド・ランス




スタッド・ランス × ウラジミール・コシュマール 2023-24 Umbro 限定 フォース ユニフォーム

着用試合:リーグアン第24節

試合結果:スタッド・ランス 0-1 リール



伊東純也と中村敬斗が所属するフランス1部スタッド・ランスは2月、奇才と謳われるドクロマスクの人気DJ/プロデューサー「ウラジミール・コシュマール」とコラボレーションした限定ユニフォームを発表。

このユニフォームを着用した第24節リール戦は0-1で敗れている。赤いホームユニフォームを着るランスにとって、ダークカラーを本拠地スタッド・オーギュスト=ドローヌで着用するのは稀なことだ。

伊藤と中村も出場したリール戦では、デザインを担当したDJウラジミール・コシュマールも来場。試合前のスタジアムを盛り上げていたが、勝利で飾ることは出来なかった。

アーセナル







アーセナル 2023-24 adidas “No More Red” 特別ユニフォーム

着用試合:FAカップ3回戦

試合結果:アーセナル 0-2 リヴァプール



アーセナルは1月7日に行われたFAカップ3回戦でリヴァプールと対戦。本拠地エミレーツ・スタジアムで行われた一戦を0-2で落としている。

このユニフォームは「No More Red(ノー・モア・レッド)」キャンペーンの一環として着用したもの。チームカラーの赤を外し、流血は不必要というキャンペーンの趣旨を形にしたこの白いユニフォームで、犯罪撲滅を視覚的に訴えた。

デザインは事前に発表したものから一部仕様を変更し、試合用では各部ロゴマークに黒を採用している。

真っ白なユニフォームを着る「No More Red」キャンペーンは今回で3年連続だったが、エミレーツ・スタジアムで着用したのは初めて。通常であれば本拠地で着ることのない白ユニフォームは、選手にとっても感覚的に難しかったのだろうか。