総務省の発表によれば、全国の空き家の数が900万戸となり、過去最高を更新しました。 その背景には人口減少や高齢化があると考えられています。 5月11日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが空き家問題について解説します。

     

東京都民が移り住んでもまだ余る

総務省が発表した最新の「住宅・土地統計調査」によると、2023年10月時点で全国の空き家の数が900万戸で過去最高を更新。

この調査は5年に1回行われていますが、前回の調査から51万戸も増えて、過去最多となりました。
指摘されて久しい「空き家問題」ですが、背景には人口減少や高齢化があると考えられています。

都道府県別に見ると、最多は東京都(89万8千戸)で、大阪府(70万戸)、神奈川県(46万戸)と続いており、人口の多いところが上位を占めているようです。
30年前(448万戸)と比べると、ほぼ倍増したことになります。

空き家率は13.8%となっていますが、注意したいのは一戸建てだけではなく、マンションの中の空室も含まれていること。

また、ひとくちに空き家といっても、長期にわたって入居者がいない、文字通りの「空き家」だけではありません。
別荘や、たまに寝泊まりする場所などの「二次的住宅」、賃貸用・売却用の住宅も含まれています。

大石「別荘いいですよね。持ちたいね(笑)」

現在、東京都の全世帯数はおよそ720万。
「仮に東京都の全世帯が空き家に移ったとしても、なお空きがあるくらいの数」と驚きを隠せない大石。

大石「900万戸って、ものすごい数ですよ」

懸念される空き家倒壊による火災

犯罪の温床になると指摘される「空き家」ですが、さらに怖いのは地震などによって倒壊の危険があること。

能登地震では、空き家ではないものの古い家屋が倒れ、道路を塞いでいました。
倒れた木造住宅は導火線になり、さらなる火災を招きかねません。

このように、防災の観点からも懸念の大きい「空き家」。

大石「だから、空き家はなんとかしないといけない」

「空き家問題」の引き金になっているのは、言わずもがな、少子化です。

最近、人口戦略会議が出した「持続可能性自治体」の分析では、全国の自治体が「消滅する自治体」と「持続する自治体」に区分けされています。
分析によると、いま全国にある1729の自治体のうち、「消滅する自治体」はなんと約半分にのぼりました。

大石「744もあるんです!半分くらい」

深刻な人口減少が背景に…

「消滅する自治体」の根拠となったのは、「20〜39歳までの女性の人口減少率が大きい」地域であること。
出生数が減ると、将来の人口も減るため、100年後には現在の10分の1にまで人口が減ると試算されています。

大石「ショッキングですよ、ショッキング!」

一方で、若年女性の人口減少がそれほど激しくない「持続する自治体」は全国にわずか65しかありません。

これは千葉県の流山市など、手厚い子育て政策をうっている自治体に限られるそうです。
子育て世帯が移り住んでいるこうした自治体はごく稀です。

現在、日本の特殊出生率は1.26で「衝撃的な数字」と大石。
現状を鑑みて、2060年に特殊出生率を2.07に回復し、2100年には人口8000万人の国を目指す、と提言している人口戦略会議。

大石「人口減少を食い止められる数字。まあでも、8000万でもいいと思うんですよ。日本は狭いから。大量生産の時代は終わったんです」

大量生産やスクラップ・アンド・ビルドの象徴である「空き家」。
たとえ将来、3分の2のサイズの国家になったとしても、ひとりひとりの国民満足度の高い国に生まれ変わることを願う大石でした。
(nachtm)