2016 年に女性活躍推進法が施行されてから8年、女性も働きやすい環境づくりに努める企業が増加している。

しかし、世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2023」によれば、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低順位を記録するなど、改善すべき課題が極めて多いのも現状だ。

特に政治と経済におけるジェンダーギャップは大きな課題となっており、イギリスの経済誌が今年3月に発表した女性の働きやすさランキングでは、日本は主要29か国中27位と、世界的に後れをとっている現状が伺える。

転職・就職のための情報プラットフォームを運営するOpenWorkは、働きがいの向上のために、個人・企業・社会などの視点から働きがいについて調査・リサーチを行うためのプロジェクト「働きがい研究所」を実施している。

5月4日に発表された「働きがい研究所 vol. 121」では、若手女性社員が成長環境を評価する企業を探るべく、20代の女性社員から「20代成長環境」「人事評価の適性感」「待遇面の満足度」の3つの指標(各5点満点)で評価された企業を、ランキング形式でまとめた。

対象データ:OpenWorkに2019年以降に投稿された20代女性社員(回答時現職)による会社評価レポート26674件

上位10社のうち7社が外資系企業 

20代女性社員がキャリア成長を実感する企業ランキング20代女性社員がキャリア成長を実感する企業ランキング

ランキングは、20代の女性社員が、若手の成長環境や人事評価、待遇面を評価した企業のスコアを集計したもの。

1位にP&Gジャパン、2位に日本マイクロソフトの外資系企業が上位2社を占め、ともに「20代成長環境」「人事評価の適正感」「待遇面の満足度」の3つのスコア平均が5点満点のうち、4点を超える結果となった。

ランキング全体では、コンサルティング会社やテクノロジー関連企業など、多くの外資系企業が名を連ね、上位10社中7社が外資系企業という結果になった。外資系企業では日系企業に比べ、早くから多様な人材を採用し、個人の生活や能力に適した働き方に柔軟に対応することで、ダイバーシティ&インクルージョンを推進してきたことがうかがえる。

また、社員クチコミでは「男女関係なく仕事に挑戦できる」「女性だから、といった考え方はない」など、性差のなさに言及するコメントが多く見られた。女性社員が評価する企業とは、「女性に優しい」「女性が優遇されている」企業ではなく、性別に関係なく活躍や成長の機会がある「平等な企業」と言えそうだ。

実力主義でロールモデルのいる環境

多くの有名企業や大企業を抑え、3位にランクインした中古住宅のリフォーム・販売を手掛ける「カチタス(群馬県桐生市)」にも注目したい。

同社のクチコミを見てみると、入社後の早い時期から裁量を与えられ、実力主義で透明性の高いフィードバックを受けられる点が評価されているようだ。また、男性が多い不動産業界において女性社員の比率も高く、手本やロールモデルとなる女性も多いことがうかがえる。

また、こうした傾向は他のランクイン企業にも見られ、「チャレンジできる」「平等に昇給昇格機会がある」といった声が多く寄せられている。 

政府は、大企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上に引き上げる目標を掲げている。達成までの道のりは容易ではなさそうだが、このランキングがどのように変化していくのか、今後の動向にも注目が集まりそうだ。