2024年5月8日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国が2021年に中国新疆ウイグル自治区産の綿製品の輸入を禁止する一方で、なおも同自治区産の製品が米国内に入っていると報じた。

記事は、検査機関であるStratum ReservoirとApplied DNA Sciencesが7日に発表した最新の研究報告で、昨年に米国を含む世界の小売業者が販売した綿製品サンプルの19%に同自治区産の綿花が含まれていたことが明らかになったと報道。研究では「同位体測定法」を用いて作物とその生育環境の炭素、水素の濃度を測定し、栽培された地域を特定する方法で、昨年2〜3月にかけて大手小売業者やECプラットフォームが販売した衣料品や靴の822製品のサンプルを分析したところ、19%に同自治区産綿製品を使用した痕跡があり、そのうちの57%は原料が「100%米国産」と表示されていたという。

米政府の報告書によると、2020〜21年に同自治区産の綿製品は世界全体の供給量の約23%を占めていたが、米国では21年末にバイデン米大統領がウイグル人強制労働防止法に署名し、企業が生産工程で強制労働をしていないことを証明できなければ同自治区産の綿製品を輸入できなくなった。米国政府は同法に抵触する中国企業・団体のブラックリストを拡大しており、現時点ではすでに30件を超えているという。

記事は、国際メディアや人権団体による調査では、中国政府が同自治区で「再教育キャンプ」などを通じたウイグル人弾圧を続けていることが指摘されており、米政府も4月下旬のブリンケン国務長官の訪中直前に年次人権報告書を発表し、「中国政府はイスラム教徒の多いウイグル族やその他の少数民族、宗教的少数派に対して人権侵害を続けている」と中国を改めて批判したことを伝えている。(翻訳・編集/川尻)