Faith Hung

[台北 3日 ロイター] - 人工知能(AI)ブームで台湾の半導体セクターが潤うとの期待から、台湾の上場投資信託(ETF)に個人投資家が殺到している。

2兆ドル規模の台湾ETF市場の保有構造は変化し、不慣れな投資家も増えた。規制当局やETF運用会社からは、台湾有事や相場反転の際にはそうした投資家が傷を負いかねないと懸念する声も上がっている。

金融規制当局の金融監督管理委員会(FSC)のデータによると、3月時点でETF市場の時価総額は4兆7400億台湾ドル(1458億米ドル)と、1年前から77%も膨らんでいた。この間、主要株価指数の時価総額は20%の増加にとどまっており、ETFに大量の資金が流入していることが分かる。

多くが借入金を元手にした投資急増がETF価格を押し上げており、資産運用会社は、大規模な相場反転のリスクが高まると指摘している。

実際、中東情勢が緊迫して半導体受託生産の世界大手、台湾積体電路製造(TSMC)に対する海外需要が圧迫されるとの懸念が生じた4月中旬には、半導体株が軒並み下落した。

FSC幹部はロイターに対して「ETFを含め、投資家の利益を確実に守りたい」と述べ、市場動向を注視する姿勢を示した。

台湾メディアでは、学生や仏教の尼僧までがETFを使って株式投資ゲームに興じる様子や、住宅を抵当に入れてETFを購入するなどの熱狂ぶりが伝えられている。

ETFが人気になっているのは、ほとんどリスクなしで半導体セクターに手軽に投資できる手段とされているためだ。

しかし「キャピタルTIPカスタマイズド台湾ハイテク配当&グロースETF」を運用するピーター・ホン氏は、「投資家は一般に、ETF投資は常にもうかると考えているが、必ずしもそうではない」と警告した。