[北京 14日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)のデータをもとにロイターが算出した5月の新規人民元建て銀行融資は9500億元(1309億3000万ドル)と、前月から増加したがアナリストの予想を大幅に下回った。

マネーサプライの伸び率も過去最低を記録しており、人民銀行が景気支援を目指しているものの、景気回復の足取りが鈍いことが浮き彫りとなった。

5月の新規人民元建て銀行融資は前年同月の1兆3600億元を下回った。ロイター調査によるアナリスト予想は1兆2550億元、4月の実績は7300億元だった。

国泰君安国際のチーフエコノミストは「5月の信用の伸びは予想を下回った。家計の債務圧縮が続いているようだ」と指摘。ただ、元安進行のリスクがあるため、人民銀行は早期利下げには消極的かもしれないと述べた。

住宅ローンを中心とする家計向け融資は5月に757億元増加。4月は5166億元減少していた。企業向け融資は4月の8600億元から7400億元に減少した。

人民銀によると、1─5月の新規融資は11兆1400億元となった。

<M2伸び率、過去最低>

5月のマネーサプライM2の前年比伸び率は7.0%とアナリスト予想の7.2%を下回り、過去最低を記録。4月は7.2%だった。

M1の前年比伸び率もマイナス4.2%と、過去最低だった。

5月末時点の元建て融資残高は前年比9.3%増と、4月の9.6%から伸びが鈍化した。市場予想は9.5%増。

ただ、5月の社会融資総量残高は前年比8.4%増と、過去最低だった4月の8.3%増からやや加速した。

社会融資総量は、通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す。

キャピタル・エコノミクスは「政府が国債発行を加速しており、信用全体の伸びがやや加速した」と述べた。

中国政府は5月、超長期国債1兆元の発行を開始した。

5月の社会融資総量は2兆0700億元の増加。ロイターがまとめた市場予想は2兆2000億元だった。4月は720億元の減少と、異例のマイナスとなっていた。