[シンガポール 30日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は30日、アジア太平洋地域について、今後2年間で成長率が鈍化する見通しだが、急速なディスインフレと底堅い成長でソフトランディング(軟着陸)を達成できるとの見通しを示した。

地域の成長率は昨年の5%から今年は4.5%、2025年は4.3%に鈍化すると予想した。

不動産部門の調整など中国の構造的な減速が引き続き地域の成長率鈍化の主因になる見通しで、中東やウクライナの紛争による商品価格変動や貿易混乱の影響もなお受けやすいとした。

中国の成長率は23年の5.2%から今年は4.6%に減速し、25年は4.1%になるとの予想を示した。

ただ、短期的なリスクは上下で「ほぼ均衡している」と指摘。

インフレ圧力の後退とそれに伴う早期の金融緩和期待によりアジアと世界でソフトランディングの見込みが高まったとした。

IMFのアジア太平洋局長クリシュナ・スリニバーサン氏は、地域経済見通し報告書の発表後、米連邦準備理事会(FRB)の動きに縛られ過ぎることなく、国内インフレ動向に目を向けるべきだと指摘。

「アジア諸国は金融面での摩擦が少なく、マクロ面のファンダメンタルズ(基礎的条件)と制度的枠組みが改善されているため、為替相場の変動に対処しやすい状況にある。為替相場を今後も衝撃に対する緩衝材として機能させるべきだ」と述べた。