[ワシントン/エルサレム 8日 ロイター] - オースティン米国防長官は8日に開かれた上院公聴会で、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの本格侵攻を計画していることを踏まえ、イスラエルに対する一部の弾薬の供給を停止したと明らかにした。

バイデン政権がイスラエル軍事支援を巡る政策を転換しつつある可能性を公の場で明らかにするのはオースティン長官が初めて。

オースティン長官は、イスラエル防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎなく、供給停止は最終的なものではないと強調。同時に、米国はラファで大規模な戦闘は望んでいないとし、「戦闘地域の民間人を保護することなくラファに対する大規模攻撃を開始すべきではないと当初から明確にしてきた」と述べた。

その上で「状況を改めて検証した結果、弾薬の輸送を一時停止した」と述べた。

また、国務省のミラー報道官は記者団に対し、イスラエルが以前にガザで取った行動や民間人への影響を踏まえると、イスラエル軍のラファでの作戦には深刻な懸念があると述べ、イスラエルへの当面の武器供給について検証していると述べた。

これに対し、イスラエルのエルダン国連大使は8日、イスラエルの民放テレビ局チャンネル12で、米国がイスラエルへの武器供給を停止するとは思わないとした上で、一部の武器供給を停止するという米国の決定は「非常に残念」であり、いらだたしいと指摘。バイデン米大統領は「(ガザ戦争で)ハマスを壊滅させるという目標においてわれわれのパートナーと言う一方、ハマスを壊滅させるための手段を遅らせることはできない」とした。

また、米ニュースサイトのアクシオスは8日、関係筋の話として、イスラエル高官はバイデン政権がイスラエルへの武器供給を一部停止したことで人質解放に向けた交渉が危うくなる可能性があると米国側に対し警告したと報じた。