マスターズの全国水泳大会で大会新記録で優勝した中小田千鶴子さん=唐津市和多田のビートスイミングクラブ唐津

 3月に新潟県であった第46回JSCA全国マスターズスイミングフェスティバルの女子25メートル背泳ぎで、唐津市の中小田千鶴子さん(64)が19秒55を記録し、年齢区分の大会新で優勝した。レース前に、若楠国体出場に導いてくれた高校時代の恩師の「気持ちで負けるな」との言葉を思い出し、気を奮い立たせた。

 12年間、破られなかった65〜69歳(当該年の12月末日の年齢)女子の記録を0・5秒縮めた。50代で同大会で4度の優勝を飾るも「一度でいいから全国大会で大会新を出してみたかった」という。

 市内のたなべクリニック産科婦人科の助産師として現役で働く。2年前には右腕を骨折するアクシデントに見舞われたが、5年ぶりに出場する今大会に照準を定めて調整した。大会前の1カ月は所属する「ビートスイミングクラブ唐津」の練習時間では足りず、小城市内のプールにも通った。

 唐津商業高水泳部の恩師・故宮﨑靖武さんから言われた「伸びる可能性がある」を遅まきながら体現した大会新。「ようやく恩返しができた」と笑顔を見せる。今大会は50メートル自由形でも優勝した。

 高校3年間はいずれも国体に100メートル自由形で出場した。宮﨑さんが県競泳女子の監督を務めた。高2で迎えた若楠国体はベストタイムの組1位ながら予選落ち。「国体に向けた合宿ほど人生できつい体験はなかった」と思い返す。20年離れていた水泳に、40歳から挑んだのも、宮﨑さんの勧めがあったからだ。

 若楠国体で受けた地鳴りのような声援が忘れられない。それ以来となる地元開催の今年の国民スポーツ大会はボランティア登録し、大会運営をサポートする。「全力が出せるように少しでも選手の役に立てたらいい。できれば水泳に関われたら」と考えている。(宮﨑勝)