日本銀行佐賀事務所は30日、2024年春の佐賀県内の金融経済概況を発表し、全体の景気は「回復の動きが足踏みした状態が続いている」と2月に引き下げた判断を据え置いた。個人消費が底堅く推移し、公共投資の増加や生産が弱含んでいる状況を踏まえた。

 個人消費は「物価上昇などの影響を受けつつも、底堅く推移している」と判断を据え置いた。家電や自動車の販売が鈍いものの、百貨店・スーパー売上高は主力の食料品が堅調だった。

 公共投資は2期ぶりに引き上げ「増加している」とした。佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画に伴う駐屯地新設工事が本格化し、公共工事請負金額を押し上げた。

 一方で生産は「弱含んでいる」と4期(1年)ぶりに引き下げた。物価高による買い控えなどが食料品の生産に影響し、電気機械も減少している。

 西崎淳一所長は「個人消費は物価上昇による節約志向や購入点数の減少といった声が聞かれるが、それが強まってはいない。景気全体としては回復の傾向から外れていない」と分析。先行きについては「海外の経済・物価動向、コスト高とその波及などが与える影響に留意する必要がある」としている。(北島郁男)