入社1年目の校閲部で、上司から県内の市町村名と首長の氏名を全部覚えるようにと言われ、テストも受けた。当時は49市町村。首長は忘れたが、40年近くを経ても自治体名は覚えている。今、県内は20市町。半減した分、首長の氏名はあの時ほど苦労せずに覚えられそうだ◆日本の市町村は明治時代、7万を超える数でスタートした。それが明治、昭和、平成の大合併を経て1700余りに減った。今年は昭和の大合併で1954年に誕生した鳥栖、多久、伊万里、鹿島市と旧武雄市の市制施行70周年の節目。中でも多久市はきょうが“古希”の記念日だ。若い頃赴任し、愛着ある土地。おめでとうございます◆多久市といえば、市立図書館が創立100周年記念で開いた市出身の写真家・田川清美さんの写真展を思い出す。坂本龍一さんや小錦さんらの迫力あるパネル写真に圧倒され、夏目雅子さんの笑顔に癒やされた◆その田川さんが亡くなられたと関係者から聞いた。写真展から2カ月後の昨年7月だったという。多久市の誕生より少し先輩の70代前半。お会いしたことはなかったが、写真展を見た人には田川さんの魂が伝わっているはず。この欄でしのばせてもらう◆平成の大合併からでも20年近くたつ。課題は多いが、みんなで力を合わせるしかない。田川さんもきっと応援している。(義)