伝統の「流し刺し網」でエツを取る漁業者=佐賀、福岡県境の筑後川(撮影・山田宏一郎)

 佐賀市諸富町と福岡県大川市を流れる筑後川で1日、初夏の風物詩のエツ漁が解禁された。大川市の昇開橋付近で川開き式が開かれ、関係者約80人が出席して豊漁と安全を願った。

 エツはカタクチイワシ科の魚で体長30〜40センチ。日本では有明海湾奥部だけに生息し、「幻の魚」と呼ばれる。漁業者は伝統的な漁法の流し刺し網を行い、網にかかったエツを取っていた。大川市漁業協同組合の小栁政彦組合長は「今年も昨年と同様に暖かい日が続き、初日からたくさん取れている」と話した。

 川開き式では、エツをさばく神事「包丁始め」などが行われた。また抽選で選ばれた人たちが遊覧船に乗り、漁の様子を眺めながらエツ料理を味わった。漁期は7月20日まで。(上田遊知)