生徒たちに語りかける全日本アーチェリー連盟の田中伸周理事長=唐津市の厳木高

 全日本アーチェリー連盟理事長の田中伸周(のぶかね)さん(58)が1日、2009年度まで18年間教壇に立った唐津市の厳木高で講演した。開校記念の講演会で、自身の経験を基に「夢がかなうまで、一歩ずつ前進を」と語り、生徒約200人が耳を傾けた。

 同校でアーチェリー部を創部した当時、「うまいだけの選手はいらない。『厳木高の選手とまた練習をしたい、厳木高に行きたい』と言われるチームづくりを目指した」という。「そのために考えられることはすべて実行した」と語った。

 2013年に国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、ロゲ会長(当時)が20年の夏季五輪の開催都市を「東京」と発表する映像が一つの転機になった。その瞬間に「僕は高校の先生をやめて日本一のコーチになる、プロになると決めた。迷いはあるけど、決めるのは一瞬」と振り返った。21年の東京五輪で監督として男子団体の銅メダル獲得に導いた。

 これまでの自身の歩みを顧みて「何事もとことんしつこくやり続けて、とことんしつこく言い続ける。ちょっとのことでいい、やり続けよう」「チャンスは自分でつかむもの。自分でトライして夢に向かって進もう」と生徒たちに呼びかけた。(宮﨑勝)