自主防災会の役員と組織結成を希望する自治会長との意見交換=唐津市役所

 地域の防災力向上につながる自主防災組織の設置促進を目指し、唐津市内の自治会長と自主防災会役員が11日、市役所で意見交換した。昨年7月の豪雨では、浜玉町今坂地区で住民3人が土石流の犠牲になるなど市内の広い範囲で大きな被害があった。消防や警察など公助が行き届かない場合も考えられ、地域による共助の重要性を確認した。

 市内では364の行政区のうち118区に認定自主防災組織がある。1自治会1組織が基本で複数の自治会で結成するケースもあり、組織数は82。上場地区は少ない傾向がある。認定組織がなくても、自治会などが同様の機能を持ち合わせている地区もあるという。意見交換会は本年度で4回目で、組織結成を希望する自治会長34人とすでに結成している自主防災会の役員23人が参加した。昨年よりも参加者が多かった。

 佐賀地方気象台防災管理官の村方栄真さん(57)が防災気象情報について解説し「自宅の周りにどんな危険があるのか、事前に知ることで命を守る行動に差が生じる」と強調。5月下旬から土砂災害警戒情報基準が見直されることも説明し「より危険度が高まった時点で発表するようになる」と伝えた。

 市が補助金などを説明した後、グループに分かれて避難や市の支援をテーマに意見を交わした。「自治会を維持するだけでも大変」「避難所まで遠い」「各家庭の情報がなくて困る」などの意見が出ていた。

 自主防災会の設置を申請している同市北波多の行合野地区の岡本淳一さん(66)は「大雨が降れば、(地区を流れる)徳須恵川だけでなく裏山からの水もすごい。今坂のような災害は地元でもあり得ると思っている。地域の消防団員は昼間はおらず、組織ができれば安心感につながると思う」と話した。(宮﨑勝)