九州各県の担当者がアフリカ豚熱の防疫などについて意見を交わした対策会議=佐賀市のアバンセ

 感染すると家畜に大きな被害を及ぼす伝染病のアフリカ豚熱(ASF)の九州地区対策会議が23日、佐賀市のアバンセで開かれた。農林水産省や各県の畜産担当者ら約60人が参加。世界の感染状況を共有するとともに、各県の防疫対策などについて情報交換した。

 アフリカ豚熱はブタやイノシシが感染し、致死率が高く、有効なワクチンや治療法がない。日本では発生が確認されていないが、アジアでも感染が広がり、九州に近い韓国・釜山(プサン)では昨年12月〜今年4月に野生のイノシシの感染が25例に上っている。

 九州農政局消費・安全部の松本隆志部長は「今後発生することを前提として、対策を進めてほしい」と呼びかけた。

 佐賀県は、3月に韓国などからの利用者が多い主要ゴルフ場にゴルフバッグと靴底の消毒を要請して消毒マットも配布したことや、野生動物が食べるのを防ぐためにキャンプ場での食べ残しの適切な処理を求めたことを報告した。宮崎県は、既に県庁内に野生動物対策班を設け、アフリカ豚熱対応方針案を作ったことを紹介した。

 会議に先立ち、22日に武雄市内の山林で実地研修があった。参加者は野生イノシシにアフリカ豚熱の感染疑いがあるとの想定で、死骸の適切な埋設方法などを確認した。(古賀真理子)