JR西日本が利用が低迷する木次線の出雲横田(島根県奥出雲町横田)−備後落合(広島県庄原市)間の公共交通の在り方を沿線自治体と協議する意向を示したことを受け、斉藤鉄夫国土交通相が24日の閣議後の会見で「どうやって地域交通を守っていくか。地域の関係者と真摯に議論し、丁寧な合意形成に努めることを期待している。JR西に指導していく」と強調した。

 国土交通省は、赤字が続く地方鉄道再編に向け、鉄道事業者か自治体の要請に基づいて存廃を協議する再構築協議会を設ける制度を創設。JR西は出雲横田−備後落合間で、再構築協議会設置するかどうかは「選択肢の一つであるが、前提でない」との見解を示している。

 斉藤国交相は、再構築協議会制度を創設した2023年の地域公共交通活性化再生法改正の趣旨に触れ、「鉄道事業者や地方公共団体など地域の関係者で十分な議論を行った上で、連携、共働を図り、地域や利用者にとって最適な形で交通手段を維持、確保していくことが重要だ。法改正するなど制度面、予算面の仕組みを整えた」と述べた。

 木次線を巡っては、JR西日本山陰支社の佐伯祥一支社長が23日、出雲横田−備後落合間の沿線自治体と公共交通の在り方を協議する意向を表明。利用が低迷し、大量輸送を目的とする鉄道の特性を発揮できていないことを理由に挙げた。今後、島根、広島両県、沿線自治体の島根県奥出雲町、広島県庄原市にそれぞれ説明する考えを示し、自治体側の対応が注目されている。

 JR西は「特定の前提を置かず、協議の進め方を含めて相談したい」と強調するものの、島根県の丸山達也知事は「県民生活を支える大切な路線であるとともに鉄道ネットワークを形成する路線。相談内容が廃止を前提にしたものであれば応じられない」と反発。広島県の湯崎英彦知事は「中山間地域や将来の国土のあり方を見据え、鉄道をどう位置付けるのか。全国的な鉄道網の方向性を早期に整理してほしい」と国に強く求めた。