【ワシントン=大内清】米大統領選は5日、投開票が実施される11月5日まで半年となる。各種世論調査の支持率は、再選を目指す民主党のジョー・バイデン大統領(81)が共和党のドナルド・トランプ前大統領(77)に対して現時点でやや劣勢。主要争点の不法移民や経済対策、人工妊娠中絶の是非などの内政問題に加え、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃に抗議する学生デモの拡大も選挙戦に影響する重大な要素に浮上しつつある。

米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の集計では、5月2日時点の全国平均支持率はトランプ氏が46・6%で、バイデン氏の45・1%を僅差でリード。本選では、無所属のロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)に民主、共和両党からどれだけの票が流れるかが注目される。

大統領選では一般的に内政問題に比べて外交・安全保障は争点になりにくいといわれる。しかし今回は、ガザでの即時停戦や対イスラエル支援見直しを求めるデモが各地の大学に拡大していることが、1990年代後半以降に生まれた「Z世代」の投票に影響する可能性が指摘される。

バイデン氏はこれまで学生ローンの負担軽減などで若年層へのアピールを強めてきたが、停戦調停が難航するガザ問題ではZ世代の批判を受ける立場。トランプ氏は、抗議活動の拡大による混乱を民主党の失政として攻撃材料としている。

一方、トランプ氏は、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援に懐疑的な姿勢を示すなど内向き志向が強く、米国の指導力を重視する共和党主流派の票をつなぎ止められるかが課題となる。