辞職を表明している静岡県の川勝平太知事は2024年5月1日、県のホームページで「知事退任のあいさつ」を公開しました。静岡工区での着工を認めてこなかったリニア問題に触れ「“命の水の保全”は私たちの使命」と強調し、辞職のタイミングについても「水資源・自然環境保全とリニア実現の両立に向け、十分に議論する時間が確保できました。一区切りです。私は役割を終え、今月9日に辞職します」と綴りました。

【「知事退任のあいさつ」全文】
昨年は、コロナがほぼ終息し、富士山が世界遺産登録10周年を迎え、国が選定した「東アジア文化都市2023静岡県」は大成功でした。

「あさみどり 八十八夜の初摘(はつつみ)の 新茶寿(ことほ)ぐ富士の霊峰」―新茶を味わうひと時にまさる幸せはありませんね。

いま、開催中の「浜名湖花博2024」では、色とりどりの美しい花々と絶品の食文化が楽しめます。お茶もお花も食も、その源は“水”です。

富士山は気高い父のように、南アルプスは優しい母のように、生命を育む清らかな水を恵んでくれます。“命の水の保全”は私たちの使命です。

南アルプスの自然環境と水資源を守るため、私は全力を傾注しました。去る3月末、
JR東海は事業計画の変更を明らかにし、結果、水資源・自然環境保全とリニア実現の両立に向け、十分に議論する時間が確保できました。一区切りです。私は役割を終え、今月9日に辞職します。

過去15年間、皆様に懸命に奉仕し、“富国有徳の美しいふじのくにづくり”に渾身の力を注ぎました。それが出来ましたのは、ひとえに、皆様の温かい御支援の賜物です。

光を浴びて流れるきららかな水のように命を輝かせてください。

皆様の御健勝と御多幸をお祈り申し上げます。ありがとうございました。さようなら