静岡県知事選の主な争点について、お伝えするシリーズ。3回目は「リニア問題」です。

SBSが5月18日、19日に実施した電話調査では、リニア中央新幹線について、5割弱の人が「建設を進めるべき」と回答しています。知事選では大きな争点とされる中、岐阜県瑞浪市ではリニアのトンネル工事の現場周辺で井戸などの水位の低下が明らかになっています。

SBS

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「怒りをすごく強く感じましたね。やっぱりなったんじゃんって思いましたね」

静岡県島田市神座のイチゴ農家、渡瀬豊さんです。

SBS

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「これから静岡で工事が起こったら大井川流域の水も枯れてしまうのではないかという懸念はすごく感じています」

リニア中央新幹線をめぐっては、岐阜県瑞浪市のトンネル工事の現場周辺で「井戸」や「ため池」の水位が低下していることが明らかになりました。

SBS

<JR東海 丹羽俊介社長>
「より慎重な対応として、現地点でトンネルの掘削を一時中断して、水平ボーリングなどによる地質調査を実施するとした」

JR東海は、トンネル工事の影響の可能性が高いとして、5月21日から工事を一時中断して、6月にも地質調査を始める方針です。

静岡県との協議に影響があるのか、問われると…

<JR東海 丹羽俊介社長>
「トンネルから約100キロ離れた大井川の中下流域に与える影響や対策について議論している。今回の件はケースが異なると考えている」

国の有識者会議は2021年、トンネル湧水を大井川に戻せば中流・下流への影響は「極めて小さい」とまとめています。

島田市の神座地区では、国土交通省が大井川の護岸工事を行っています。

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「(護岸)工事が始まってから、神座地区の井戸が出なくなったり、影響が今でも続いていて、すごく困っている。簡単な護岸工事。それで被害が出ているってことは、リニアの工事が始まって工事をしたら絶対そうなるなと思っていて」

神座地区では、複数の井戸で水が出にくくなるなどのトラブルが起きていますが、国交省は工事との因果関係は不明だとしています。

SBS

生産者にとって、欠かせない水。渡瀬さんは、新しい知事に住民との対話を大切にしてほしいと訴えます。

<ありすふぁーむ 渡瀬豊代表>
「新しいリーダーには前任者からしっかりとレクチャーを受けて、引き継ぎをしたうえで、しっかりJR東海と話し合って、住民にも丁寧に対応していただきたい」

一方、リニア工事をめぐっては進展がありました。

SBS

<静岡県 森貴志副知事>
「科学的・工学的な観点から、リスク管理ができると結論されたという風に理解している」

川勝前知事が退任してから初めて開かれた専門部会では、山梨工区のボーリング調査を容認する考えに切り替えました。

リニア工事にストップをかけていた川勝県政からの転換、次の知事がこの問題にどう向き合うのか、注目されます。

リニア問題について、各候補の主張です。

SBS

【横山正文候補】
「県知事の就任会見のその場で、先進坑貫通工事の許可を出す」
【森大介候補】
「水と環境を破壊をする問題山積のリニア建設は中止をすべき」
【鈴木康友候補】
「大井川の水資源確保と、自然環境の保全との両立を図りながら推進する」

SBS

【大村慎一候補】
「大井川の水と環境は守る。国の関与と県のメリットを明確化」
【村上猛候補】
「冬山からの乗客の救出方法が示されていない」
【浜中都己候補】
「JR東海の時効制限なしでの補償などを条件に慎重に検討する」