チャイルドシートを付けた電動自転車(ママチャリ)に乗る女性の映像がネット上で大炎上している。これはドラレコに記録されたと思われる運転手目線のもので、交差点で信号無視をして右折したママチャリに乗っていた女性が車とぶつかりそうなった後、激怒した様子で叫びながら何かを訴えかけているように見える。女性はスマホを取り出し、どこかに電話をした後、ドラレコ主の運転席をスマホで撮影し、ドラレコの視界から立ち去っていく。いったい何があったのか、現場を検証した。

「朝は迷惑自転車だらけ」「でもネットにのせるのは違うでしょ」

4月15日にX上で投稿された冒頭の映像が拡散されるやいなや、大炎上。「ママチャリの人」「ママチャリ逆走おばさん」といったワードがトレンド入りした。

「当時、女性の進行方向は赤信号で、しかも車線を逆走して車道を右折。さらに運転者の前に立ちはだかっていたことで進路妨害をしているようにも見えた、女性は大きな批判にさらされました。SNS上では“特定犯”がすぐさま女性の名前や住所をつきとめて晒しただけでなく、この女性を揶揄したようなアイコラ映像まで作られた。これには『さすがにやりすぎ』との声もあがっている」(スポーツ紙記者)

取材班が16日、映像に映されていた都内の“現場”を訪れると、多くの若者がスマホを構え、笑いながら交差点付近を撮影していた。今回の騒動、同世代の母親たちはどう思っているのだろうか。現場付近に住む同世代の主婦たちはこう話した。

「Xで見ましたよー。ものすごいバズってますよね。あんな晒され方して名前まで特定されちゃってお気の毒に…。自転車の逆走なんてこの辺じゃ日常茶飯事で朝は特にひどい。信号無視も普通にありますし…。私もふだんから子どもを乗せて車を運転していますが、急に飛び出してくる自転車はどうにかしてほしいですね」(30代女性・Aさん)

「あの女性のお子さんが1番可哀想ですよね。いくつなのかはわからないけど、学校や幼稚園で嫌な思いをしなければいいけど…。今の時代って本当怖いですよね。それこそ事故とか起こすと、真っ先に地元のネットワークで広がっていっちゃうし…。」(40代女性・Bさん)

そんな中、30代女性のCさんからはこんな指摘が。

「ひょっとしたらあのときは朝で、歩行者専用道路になってたんじゃないですかね? 動画をみると女性の方は標識を指さして何か言ってますから、車のほうの交通違反を指摘している可能性もあるのかなって。だとしたら本当に可哀想ですよね。まあ逆走と言われれば逆走なんでしょうけど、正直、自転車は当たり前のように逆走してますよね。女性の方の怒りぶりも尋常ではなかったようだけど、とはいえネットにのせるのは違うでしょって思います。煽り運転とかもそうですけど、最近すぐにネットにのせて拡散したがる人が多すぎますよね」

現場近隣の住民が一番迷惑しているのは…

実際はどうなのだろうか。現場となった道路は住宅街に面しており、一方通行の標識がある。だが実はCさんの指摘した通り、現場付近には小学校があり、平日の朝7時45分から8時45分の間は車両通行禁止となっている。

現場となった交差点の先と約70メートル手前に標識が設置されている。撮影された時間は明らかにされていないが、動画には制服姿の女性やスーツ姿のサラリーマンが映りこんでおり、仮に車両が通行禁止の時間帯に入ってきたとしたら、とらえ方もずいぶんと変わってくるのではないか。だが近隣の主婦はこうも語る。

「動画は見ました。女性の方はすごい怒りようでしたね。あそこは通学路になっていて、時間帯によっては小学生の子どもがたくさん歩いています。ただ、車が走ってはいけない時間帯はもっと子どもが映ってるはずですから、ひょっとしたら女性が標識を勘違いしていた可能性もあるかもしれません。
もちろん自転車の逆走は危ないことですし、信号無視はダメです。ですがそれよりもああいった動画が拡散されて変な人があちこちからやって来ないかといったことのほうが心配です。現にユーチューバーなのかわかりませんが、変な方たちをたくさん見ました。子どもがたくさん歩いている道ですから、変なトラブルに巻き込まれないか心配です」(30代女性・D子さん)

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班