東京・上野の飲食チェーン経営者夫妻が殺害され、栃木県那須町で火をつけられて捨てられていた事件の「実行役」として死体損壊容疑で逮捕された元俳優の若山耀人容疑者(20)。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で主人公の幼少期などを演じるなど、かつては映画や舞台などにも活躍の場を広げるホープだった子役の急転落ぶりに、共演経験のある俳優たちからは驚愕の声が上がっている。出身地の岐阜県美濃加茂市を取材しても、落胆と失望の声は止まるところを知らなかった。

小学生の頃はサッカー少年だった「キラト」

若山容疑者と幼稚園、小学校時代に同じクラスで席を並べていたという女性はこう肩を落とした。

「キラトは勉強、スポーツ、行事などなんでも積極的に頑張る明るい子だったので、今回の事件を知ってすごく驚きました。子役をやっていたので小さい頃から目立っていたし、活発でリーダー的な存在でみんなの人気者でしたね。
小学校のときはサッカーのクラブチームで頑張っていたし、テレビにもたくさん出ていたので、近所でも有名な子でした」

進学した公立中学では、さらに目を引く存在になっていたという。

「中学時代はサッカーや部活よりも芸能活動を頑張っていたイメージです。たまに仕事で学校を休むこともありましたが、学級委員に立候補したり、“陽キャ”でクラスの中心的な役割を担ったりと真面目で積極的でした。

でもキラトが中2のときにお父さんを地元に残し、お母さんとお姉さんと一緒に芸能活動のために東京へ引越したんです。お姉さんもそれまで地元でアイドル活動をしていたみたいで、芸能活動のために一緒に上京したんだと思います。

キラトはその後もたまに地元に遊びに来ていて、4~5年前には地元の友達と4人で一緒にファミレスに行きました。そのときはタトゥーも入ってなかったし、ヤンキーっぽい感じとかも全然なく、普通に明るくて昔のままでした。

最後に会ったのは成人式のときです。耀人はすぐ帰っちゃったので、会話とかはできなかったです。そのときはスーツだったのでタトゥーにも気がつかなかったし、いつもと変わらない雰囲気だったんですけど...」

若山容疑者の一家が住んでいたマンションの向かいに住む男性にとっても、事件の報せは衝撃だったようだ。

「キラトは小学校高学年から中2くらいまで、うちの目の前のマンションに住んでいました。ウチの孫とは同じクラスだったし、小さいときはよく一緒に遊んでたな。

大河ドラマに出ていたころは、近くでよくサッカーをしていて、ウチの敷地内にしょっちゅうサッカーボールを飛ばしてきたので、『そんなことやったらあかんぞ』『車に当たるだろ』と何度か注意したことがあります。そうしたときも『すみません!わかりました!』『はい!気をつけます!』と口ごたえもしない、ごく普通の少年でしたね」

大河ドラマに出たときは近所で大ニュースになり「すごいなぁ〜」

屈託のない子供だった“キラト”は、一方では小学生ながら1人で地元と東京を行き来する多忙な「俳優」だった。

「よく『明日は仕事で東京へ行かないといけない』と口にしていたので『誰と行くの?』と聞くと、毎回返ってくる答えは『1人で』でした。まだ小学生なのにすごいなぁと思いました。自分の思いがしっかりとあって、やりたいことを率先してやる子という印象でした。

両親は共働きだったみたいで、父親は自営業で全国を回っていたからあまり家にはいなかったようです。母親はガス給湯器メーカーで働いていましたが、耀人が中学生の頃に仕事を辞めて、娘と耀人の3人で東京へ引越しました」(前同)

そして、この男性が若山一家を忘れかけていたこの度、キラトは凶悪事件の重要なキャストとして戻ってきた。

「たまたまニュースを見ていたらキラトの顔が映って、その瞬間『あ! この子は!?』と思いました。そのあと名前を見たらやっぱり耀人だったので、すごくびっくりしました。都会に出たら人相変わるなぁと思いました。

でも、あの子があんな事件を起こせるのかなぁと思いますね。大河ドラマに出たときは近所で大ニュースになり、みんな口を揃えて『すごいなぁ〜』と言っていましたが、今は悪い意味で大ニュースになってしまっていて、近所の人からよく電話がかかってきます。みんな『何じゃあれは』という感じですね」

一家が古くから食事に訪れていたという地元の焼肉屋店主は、さらに残念そうだ。

「悪い印象などまったくなく、とにかく人なつこい明るい子だったので……。ご自宅が近かったので昔から、それこそ彼が小さな頃からずっと家族で来てくれていました。たまにお姉ちゃんも一緒のこともありましたが、キラトくんとご両親の3人で来られることがほとんどでした。

ご両親も人当たりがすごくよくて優しい印象で、それで話すようになったんですよね。芸能関係に進むというのも本人やお母さんから聞いていましたし、『軍師官兵衛』の出演が決まったときは本人もうれしそうに『大河が決まったよ』と報告してくれました。
映画の『曇天に笑う』にキャスティングされたときも『今度ポスター持ってくるね』と報告してくれました」

「(好きな言葉は)お金」「世の中、必要なのは顔とお金」

勉強はイマイチだが、サッカーなどのスポーツは得意で、明るく社交的だった「キラト」は本格的な芸能活動を志し、中学の途中で姉と母親とともに上京。それでも年に何度かはこの地元の焼肉店に顔を見せたという。

「芸能活動のために通いで東京に行くのがやはり大変だということで引っ越すと聞きました。お父さんのご職業は存じ上げませんが、自営業で地元に残るとのことでした。お姉ちゃんもアイドルをやっていたそうですが、今やっているかどうかはわからないですね。

キラトくんは上京してからも1年に何度かこっちに戻ってきたときにはご両親と一緒に食べに来てくれました」

「憧れの俳優などについて尋ねたことはありませんが、『この道でやっていきたい』と本人も言っていたので、てっきり今も俳優をやっていると思っていたんですけどね。最後にウチに来てくれたのは今年の成人式のあとだったので、本当につい最近のことです。

ご両親も一緒でキラトくんも昔と変わった様子はなかったんですけどね。見た目もピアスをしてはいましたが、タトゥーには気づきませんでしたし、今時の若者という感じで悪そうとかそんな雰囲気はありませんでした。帰り際も『また来るね』といつも通りでした」

芸能界という魑魅魍魎の世界、はたまた東京という刺激的な環境が、夢を追いかける若者の進む道を誤らせてしまったのか。若山容疑者は今年になってから、渋谷のクラブで度々目撃されるようになったようだ。

そして3月、共犯の姜光紀容疑者とともに、あるTikTok配信者の渋谷での街頭インタビューにて「(好きな言葉は)お金」「世の中、必要なのは顔とカネ」と語っている(現在は投稿は削除済)。

平山容疑者から受け取った報酬は250万円といわれているが、この残忍で猟奇的な事件に若山容疑者はどこまで関与しているのか。すべての謎解きにはもう少し時間がかかりそうだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班