東京・上野の繁華街で飲食店14店を経営していた「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)が殺害されたうえ、火をつけて栃木県那須町の河川敷に捨てられた事件で、死体損壊容疑で逮捕された関根誠端容疑者(32)=東京都世田谷区=。宝島さん夫婦の娘と事実婚状態にあり、サンエイ商事でも幹部社員として信頼が厚かったはずの男はどんな人物なのか、その横顔を探った。

少年時代は野球少年で“いい子”のイメージ

関根容疑者は15年ほど前まで、江東区内のマンションに母と姉、妹と暮らしていた。近くに住む50代男性が振り返る。

「ああ、関根さん家ね。たしか息子さんが小学校高学年のころに家族で引っ越してきて、お姉ちゃんと妹とお母さんの4人暮らしだった。お父さんは見たことなかったから母子家庭だったんじゃないかな。息子さんが着てた中学の制服はここら辺の中学のじゃなかったから『どこの中学校通ってるの?』と聞いたら、『A中学(文京区の公立中学)です』と元気に答えてくれましたよ。

この会話がキッカケでたまに話すようになって、マンションのエントランスで顔をあわせると『こんにちは!』と挨拶してくれたな。たしか中学のころは野球部に入ってたと思う。教育熱心なお母さんだったから、勉強も頑張ってたイメージだけど成績はイマイチだったかな。高校は私立の高校に通っていた。基本的に“いい子”の印象で、それからもべつにグレたりするわけじゃなかったけど、高校の途中くらいかな? 知らないうちに家族みんなで引っ越しちゃったのでそれ以降はわかりません」

中高生までは近所で「いい子」として評判だった関根容疑者は、30歳前には紋々だらけのチンピラ風情になっていた。いったいどこで道を踏み外したのか。彼は2年ほど前、世田谷区内の一軒家に転居し、宝島夫妻の娘と一緒に住んでいたようだ。近隣の40代女性が語る。

「基本、短パンTシャツで、人通りの多い朝方や夕方の時間もよくジャイアントプードルを連れて散歩していましたね。脚にはタトゥーがぎっしり入っていて、髪も金髪で見るからに怖い人なんだけど、同じように犬を連れて散歩している人には『こんにちはー』とか『おはようございまーす』と笑顔で愛想よく挨拶してたので、ご近所さんと『あの人、見かけによらずいい人だよね』って話してたんですよ。

ジャイアントプードルは大きいのを2頭飼ってましたね。女性の方がジャイアントプードルを散歩させてたのも見たことありますよ。でも去年の夏頃くらいから2人とも見なくなったね」

外車がコロコロ変わっていた

近くに住む30代女性からの評判も悪くなかった。

「ちょうど2年前、律儀に引っ越しの挨拶に来られたのを覚えています。『このたび引っ越してきました。最初はゴミとかたくさん出ちゃうと思うんですけど、よろしくお願いします』と菓子折りまで持ってこられたので、礼儀正しい方だなと思いました。でも短パンから見える足にはタトゥーが入っていたので、サラリーマンではない雰囲気はありましたね。
一緒に住んでいた女性もスタイルがよくてアジアンビューティーっぽい雰囲気があって、どちらも派手な印象でした。関根さんは去年の秋にはどこかに引っ越されていったのですが、それまでに3~4台ほど車が替わったのは気になりました。それこそベンツとかBMWみたいな高そうな外車がコロコロ変わって、しかも大阪ナンバーや奈良ナンバーとかだったので『車を集めるのが趣味なのかな?』と思っていました」
 

一方で好印象を抱いていない住民もいた。40代の男性は、関根容疑者の名前を聞くと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

「関根ね、知ってるよ。あの短パンに半裸でいつも洗車してたヤツでしょ? 上半身にもビッチリと刺青が入ってたから絶対ヤバいヤツだと思って、あまり関わらないようにしてたね。足は洋彫りだったと思うけど、上半身はどんな柄だったか覚えてねえな。だってジーッと見てたら『あ、なんだよ?』って絡まれそうだったからあまり見ないようにしてたし。

ヤツの家は奥さんらしきスタイルのいい女性と、小学校低学年くらいの子ども、それとデカいトイプードルも2匹飼ってたな。その犬が散歩でいつも俺ん家の前でおしっこするから頭にきて警察に通報したんだよ。それ以降はウチの前をあえて避けるように散歩してたけど、アイツには悪い印象のほうが多い。それと、アイツはやたらと車を替えていたよね。引っ越してきた当初はワイドのハイエースだったのが、中古車ばっかりだけど4~5台は替えてたんじゃないかな。アイツとはいろいろあったから、去年の秋ごろに引っ越していったときは正直ホッとしたよ」

“成金感”がにじみ出た大人ヤンキー

関根容疑者は昨年秋に同じ世田谷区内の集合住宅に引っ越してからも、特にトラブルを起こすことはなかったようだ。近くに住む女性がこう証言する。

「奥さんみたいなきれいな女性の方と住んでいるようで、2人とも派手なイメージでした。関根さんはスーツや上下ジャージのセットアップを着てたり、なんとなく『成金感』が滲み出ていて大人なヤンキーって感じ。白いベンツに乗ってお出かけするのも見たことありますし。あそこの建物はかなり賃料も高そうだし、サラリーマンではなく、なにか商売して成功されたんだろうな〜と思っていました。女性のほうも露出の多い格好で出歩くことが多くて、六本木とかに住んでそうな雰囲気でした。

つい2ヶ月前も、ウチで工事があったので『ご迷惑おかけします』と挨拶しにいったら奥さんが出てきて、『ぜんぜん大丈夫ですよ〜』と感じよかったので、嫌なイメージはまったくありませんね」

母子家庭で姉妹に挟まれて育った気のいい少年が、刺青だらけの車道楽になり、“上野の焼肉王”の娘の逆玉の輿に乗って何かを勘違いしてしまったのか。警視庁・栃木県警合同捜査本部の本格的な取り調べで今後炙り出されていくだろう。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班