しょう油はシウマイだけでなく、玉子焼きや蒲鉾にもたらす
しょう油はシウマイだけでなく、玉子焼きや蒲鉾にもたらす
今年で発売から70周年を迎える横浜名物、崎陽軒のシウマイ弁当。おかずが多彩で食べ方や楽しみ方が無限に広がり、ファンも数多い。というわけで、この節目にあらためて、著名人ラバーたちに「こだわりの食べ方」を聞いてみた! 3回目はグルメリポーターの彦摩呂さん!

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■しょう油は玉子焼きと蒲鉾にもかけます〜

始めて食べたのは26歳。ドラマのロケ地の横浜港の倉庫街でした。そのときに先輩俳優さんたちが、「やった〜崎陽軒だ!!」と喜んでたのを見て、知らない私は「有名なんだ......」と手に取りました。

シウマイだけでなく、鶏の唐揚げ、鮪の漬け焼、筍煮、蒲鉾、玉子焼きも主役級で、切り昆布に千切り生姜は助演男優賞でほかのおかずたちに橋をつなぐアシスト役です! そしてあんずがたまらん! あとごはんの8畳間! 経木のお弁当箱の優しさとぬくもりが心に染みる。見れば、さあシウマイ物語の始まり始まり〜って感じです。

まずはフタを開けたら辛子をシウマイの上になるべく均等につけます。次にしょう油を一滴ずつかけます。そして蒲鉾と玉子焼きの間にもしょう油を垂らします〜。

このとき、注意してあんずを生姜のスペースにそっと避難させます。しょう油がかからないようにするためです。余ったしょう油は、再びシウマイの上に。辛子はシウマイだけに全部使います。さあ準備完了です。

しょう油があんずにかからないように、切り昆布と千切り生姜の位置に避難
しょう油があんずにかからないように、切り昆布と千切り生姜の位置に避難
まずは最初にシウマイをひとつ口に入れて少し味わって、すぐに左上からごはんをひとマス分口に入れて追いかけます〜。このときにシウマイのおいしさと冷めてもウマいごはんとを存分に味わって、「横浜来た」って声にします〜。

次からはおかずたちとごはん半マスずつをバランスよく口に入れていきます。ここからは順番は自由ですが、ごはんの量を考えながら、おかずたちをメンバーチェンジしていきます。ごはん半分まできたら小梅をカリカリしてここから折り返し地点です〜。いったんお茶を飲みましょう。

さぁ後半戦は、まずシウマイだけを1個食します。シウマイの単独ライブです〜。ここでおいしさをあらためて噛み締めるんです。次に生姜と昆布で刺激を与えます。そしてごはんとおかずの入れ代わり立ち代わり、味のフォークダンスを楽しみます〜。


最後は、忘れていけません。あんずちゃんです〜。口に入れたら、シウマイ物語のエンドロールが流れ始め、満足感で満たされます。

シウマイの次に好きなものをあえてひとつ挙げるなら唐揚げです。2個欲しいところですが、ひとつだから存在が際立ちシウマイとの仲も保てるおかずです。

●彦摩呂 
1988年ナイスガイ・コンテストで準グランプリを受賞。現在はグルメリポーター、食育インストラクターとして活躍。駅弁リポートも多数行ない、独自の味の表現で人気を博する

取材/渡辺ありさ 撮影/松田嵩範