学校や病院などで、健康な人や高齢で食事が取りにくくなった人、病気を患っている人を対象に専門的な知識と技術で栄養指導や給食管理、栄養管理を行うのが「管理栄養士」です。テレビ番組やニュースサイトなどでよく見掛けますが、どうしたらなれるのか、気になったことはありませんか。仕事内容や必要な資格などについて、現役の管理栄養士である桜井このさんに聞きました。

まずは「栄養士」の免許を取得する必要がある

Q.管理栄養士の主な仕事内容について、教えてください。

桜井さん「医療機関や介護施設、学校の給食センターなどで栄養バランスの良い献立の作成や健康管理、食育指導などを主に行っています。また、スポーツ選手に帯同して専属の栄養士として食事面をサポートしたり、美容クリニックでダイエット食の指導をしたりするなど、健康・美容の観点から食のサポートを行う業務も最近は増えつつありますね」

Q.管理栄養士になるには、どのような資格が必要なのでしょうか。

桜井さん「管理栄養士になるには、管理栄養士国家試験に合格し、国家資格の一つである『管理栄養士免許』を取得しなければなりません。ただし、この試験を受けるためには、まず『栄養士』の免許を取得する必要があります。

そこで、まずは短大や専門学校などの栄養士の養成施設で勉強し、栄養士の免許を取得した後、学校や病院などで一定期間、実務経験を積むことで管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。そして、この試験に合格すれば、管理栄養士になることができます」

Q.管理栄養士はどのような場所で働いているのでしょうか。

桜井さん「2022年度の管理栄養士養成施設卒業生の就職先のデータを見てみると、最も多いのは病院で、企業、給食会社と続いています。独立して活動しているようなケースだと、スポーツや美容分野のほか、メディア出演など活動の幅を広げている人もいますね。

ただ、どのようなポジションで業務を行うのかは、それぞれの就職先によって異なると思います。例えば先述のデータでは『企業』と1つにまとめられていますが、社食の献立作成や管理を行う場合もあれば、企業内の研究チームに所属して商品開発に従事するなど、さまざまな形で貢献していますよ」

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 私たちの生活とは切っても切り離せない「食」ですが、栄養・食のスペシャリストとして活躍する管理栄養士の人たちはさまざまな場所で活躍しているんですね。厚生労働省によると、2024年3月に行われた管理栄養士国家試験の合格率は49.3%で、決して簡単な試験ではないことがよく分かります。それだけ、社会的に重要なポジションであるということなんですね。