レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

90年代の初期から中期は、テレビでは『ウゴウゴ・ルーガ』、次世代ゲーム機の「プレイステーション」、映画『トイ・ストーリー』など、2次元から3次元へ、よりリアルにコンピューターグラフィックスが発展した時代です。

中でも、ビデオゲームのようにその場で状況に合わせてCGを描画するリアルタイムレンダリングの必要がなく、映画のように尺も長くないテレビCMでは、目新しい技術が投入されがちでした。

数ある3DCGによるテレビCMの中で、特に衝撃的だったのが1996年3月にペプシコーラのCMに登場したペプシマンです。黎明期のツヤッツヤのCGで、かつムキムキな超人。ついでにドジで、つい笑ってしまうタイプの愛すべきヒーロー。

放送開始月から話題となり、CM総合研究所のCM好感度1位を獲得するほど人気キャラとなりました。実写との合成も自然かつ、CMならではの非現実的な動きもコミカルで、夢中になって見ていたものです。

舞台がアメリカで、そのビジュアルもアメコミのスーパーヒーローのようなペプシマンですが、アートディレクターの大貫卓也さんによって生み出された日本オリジナルのキャラでした。あくまで当初は日本で企画された日本限定のCMだったのです。

1998年11月、ペプシのデザイン変更で半分青くなったペプシマンから始まり、大ブームとなったボトルキャップフィギュア。第1弾スポーツ&アクション、第2弾フード&PEPSI、第3弾アクシデントとシリーズ化
1998年11月、ペプシのデザイン変更で半分青くなったペプシマンから始まり、大ブームとなったボトルキャップフィギュア。第1弾スポーツ&アクション、第2弾フード&PEPSI、第3弾アクシデントとシリーズ化

1999年の懸賞品であるペプシマンのサウンドビッグボトルキャップ。ペットボトルの上半分を覆うようにかぶせる巨大なサイズ。背中にあるボタンを押すとサウンドロゴが再生されたらしいが電池が交換できない
1999年の懸賞品であるペプシマンのサウンドビッグボトルキャップ。ペットボトルの上半分を覆うようにかぶせる巨大なサイズ。背中にあるボタンを押すとサウンドロゴが再生されたらしいが電池が交換できない

初期ペプシマンのアクションフィギュア。足を握ると頭部が変化する
初期ペプシマンのアクションフィギュア。足を握ると頭部が変化する

そして、人気のあまりペプシマンをグッズ化したのが、ペットボトルの首にかける特典としてのボトルキャップフィギュアでした。キャップにかぶせられるサイズの台座に、小さいペプシマンのフィギュアがついたものです。

販売時はパッケージからは中身が見えないこともあって、皆がこぞって集めるようになり、その後スター・ウォーズやスニーカーなどいろいろなオマケに発展していきました。

8㎝短冊CD-ROMはペプシマンのデスクトップキャラクター。パソコンの画面上にキャラクターを常駐させるソフトだ
8㎝短冊CD-ROMはペプシマンのデスクトップキャラクター。パソコンの画面上にキャラクターを常駐させるソフトだ

ほかにもゲームからCD、小説までいろいろな展開を見せたペプシマンは、本当に人気キャラクターでしたね。今こそ、当時のように会社のデスクに大量のボトルキャップを並べましょう!

撮影/榊 智朗