今夏の移籍マーケットにおける最大の注目選手は、パリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペだ。確実視されているレアル・マドリーへの移籍は、いつ正式に発表されるのか。一方で、移籍市場の裏側で影響力、存在感を強めているスカウトやスポーツディレクター(SD)、クラブ幹部も存在する。

 今回紹介するのは、移籍市場のエキスパートであるジャンルカ・ディ・マルツィオ記者が「敏腕」と称するスコットランド国籍のディレクター。先頃、6月1日でのリバプールSD就任が発表された44歳の強みとは? ディ・マルツィオ記者が詳説する。【ワールドサッカーダイジェスト4月4日号より転載】

■リチャード・ヒューズ(ボーンマスTD)
生年月日/1979年6月25日(44歳)
国籍/スコットランド プロ選手経験/あり

 2000年代にポーツマスなどで選手として活躍した後、14年にボーンマスのテクニカルディレクターに就任。1年目にクラブ史上初のプレミアリーグ昇格を成し遂げ、その後、この弱小クラブをプレミアに定着させた敏腕ディレクターだ。

 その手腕を高く評価するリバプールがSDに招聘すべく動いていて、就任がほぼ確実になっている(その後、6月1日付けでのSD就任が発表された)。リバプールで新監督を選び、競争力を保ちながら世代交代を進めるという難易度の高いミッションにどのように取り組むか、ターゲットの選択や獲得交渉でどんな手腕を見せるかが大きな注目点だ。
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 彼の強みは、エージェントや交渉相手と良好で親密な関係を築くネットワーク力にある。フォーマルでビジネスライクな関係を好む近年のディレクターたちとは異なり、パーソナルな関係構築で優位を作り出そうとするタイプだ。

 ちなみに、アタランタのプリマベーラに在籍していた経験を持つヒューズはイタリア語を流暢に操るだけでなく、イタリアのメルカートにも詳しい。

 例えば、ロベルト・デ・ゼルビを高く評価していて、このイタリア人指揮官がブライトンに行く前に一度ならずボーンマスに招聘しようと動いた過去がある。また、非常に親交が深いマイケル・エドワーズ(元リバプールFD)を何らかの形で古巣に呼び戻す可能性が高いと見られている(その後、エドワーズはリバプールのオーナー会社のCEO就任が決まった)。

文●ジャンルカ・ディ・マルツィオ(スカイ・イタリア)
翻訳●片野道郎

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