[J1第11節]川崎 3−1 浦和/5月3日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 J1の11節では川崎と浦和が対戦。前節、アウェーで広島と引き分けた(△2−2)川崎が6試合ぶりの勝利を掴んだ。

 前半にキャプテンの脇坂泰斗が先制ゴールを奪うと、前半のうちに追い付かれるも、後半開始早々にCB佐々木旭、試合終了間際に家長昭博が加点して浦和を突き放した。

「2失点とも自分の責任」

 2−2で引き分けた前節の広島戦後、深く反省していたCB佐々木旭が、その悔しさを胸に浦和戦でヒーローになった。

 ここ数試合同様、大南拓磨とCBを組んだ佐々木は、浦和CFのチアゴ・サンタナらに柔軟に対応。さらに自慢のボールの持ち運びで、49分にはハーフウェーラインあたりから一気にドリブルを始めると、相手の寄せが甘いと見るや、強烈なシュートを叩き込んでみせた。

 流通経済大を卒業し、川崎に加入して3年目。左SBが主戦場であるが、怪我人が続いたこともあって、今季は途中からCBとしての出場を続けている。

【動画】川崎・佐々木旭の圧巻のミドル!!  
 能力の高い選手であったが、これまでは怪我や体調不良なども少なくなく、欠場するゲームも見られた。

 それでもそうした悔いが今季に生きているのである。

 タフさが目に見えて増し、ピッチ上では各選手と活発にコミュニケーションをかわしながら最終ラインを牽引。試合直後のロッカールームでは、大南らと失点シーンなど課題の場面を動画を使って即座に確認するのがルーティーンで、チームの浮上にもひと役買っていると言える。

 浦和戦も最終盤、左SBに移った後に痛めたのか、足を気にする素振りを見せた。ベンチからは無理をせずにピッチに座れとの指示も出たように映った。しかし佐々木は気合いでフル出場。

 改めて逞しい、心を震わす最後まで走り切る姿を示したのである。

 埼玉で生まれ育った佐々木にとって浦和戦は特別なゲームである。しかも浦和には流通経済大の先輩・伊藤敦樹、同期の安居海渡もおり、試合後には再会を果たしたシーンも印象的であった。

「特別な想いがあるチームに得点を取れたのも嬉しかったです」

 佐々木にとってはきっと忘れられない試合になったに違いない。これまでの努力を知る分、グッとくる活躍でもあった。でも、まだ満足はしていないはず。さらなる飛躍に期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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