[J1第14節]鳥栖 5−2 川崎/5月15日/駅前不動産スタジアム

 5失点を喫し、アウェーで鳥栖に完敗した。

 川崎にとっては2節のホーム磐田戦(●4−5)に続く今季最多タイの5失点で、守備の脆さが浮き彫りになるゲームになってしまった。

 この日は、先日のU23アジアカップを制し、パリ五輪の出場権獲得に大きく貢献した高井幸大が先発に復帰し、大南拓磨とCBを構成。13分にCKから高井が強烈なヘッドで先制点を奪ったが、その後、チームは崩れた。

「勝たなくてはいけない試合で勝てなかった。そこに尽きると思います」

 今季初のリーグ戦での連勝を狙ったなかで、そう悔しさを示したのは川崎の鬼木達監督だ。

 前述の磐田戦の敗戦から、チームを立て直し、ここ5戦は負けなし(2勝3分)と復調傾向にあったが、久々の敗戦、しかも大量失点での黒星を指揮官は自らの責任だとも説明する。

「すべて自分の力不足だと思っています。当然いろんな形でのミスがありましたしたので、そこも含めてトレーニングのところから突き詰めていかないと、本番でこうなると思います。そこを含めて自分がもっとマメジメントすべきだと感じます」
【動画】鳥栖×川崎のハイライト
 負けが先行する今季、一点の重みをチームとして強く共有してきたはずであったが、鳥栖戦では連戦のなかでのアウェー戦という影響もあったか、ミスが重なりすぎた。

 鬼木監督も「自分たち次第で防げたと思います。事前に危ないところを共有したなかでやられてしまったので、一瞬のアラートさがあるかないかでの綻びが出ているのかなと。それはひとつだけではなくいくつかの連鎖があるので、断ち切らなければいけないです。その瞬間、瞬間で声で伝えられることもあるでしょうし、味方を鼓舞して集中力を高められるところもあります。これからという時にミスが連発してしまったのは残念でした」と振り返る。

 14試合を終えて4勝4分6敗、首位と勝点13差の13位。改めてここからどう守備を引き締めていくのか。指揮官に問えば、こう返ってくる。

「なんて言うんでしょう...失点に対する受け入れ方と言うような部分は、“仕方ない”で済ませてはいけないものだと思うんです。ただ、それが通ってしまっているようなところだと思いますので、そこは自分の指導の問題だと思いますし、失点に対しても厳しさを持たなくてはいけません。

 当然攻撃的なチームを目指していますが、やはり耐えれば、いくつかのチャンスが生まれてくるはずですし、そういうものを経験をしています。前節の札幌戦(ホーム/○3−0)もそうだと思います。我慢したからこそ。我慢し切れないというのはメンタル的なところがかなり大きいと思います。

 実際、2点、3点までならチャンスはあると思うのですが、それ以上取られるとなかなか難しい。どんな状況でも諦めないもっとタフなメンタルを作ることが重要だと思います」

 そしてこう続けた。

「どんな時も積み上げている良いものは認めながらやっていくべきだと思います。(鳥栖戦の)立ち上がりのボールの動かし方も含めてスムーズさはありましたし、今までは先制されるケースも多かったなかで、先制点を取れました。

 ただ競ったゲームや緊迫したゲームでは、トラップひとつとっても1メートル、もしくは数10センチ大きいだけで自分たちが行きたい方向に行けなかったりしますし、安全なプレーをすることによって逆に相手のプレッシャーを受けたり、失敗はしていなくても大きな成功につながっていなかったり、そういうものを突き詰めていかなければ自分たちが目指すものには辿り着けないと思います。

 そこの甘さも含めて自分のところでこれぐらいでと許してしまっているところも突き詰めていく必要があります。メンタル的なところでいうと、やり続けることは変わらないです。勝っていても負けていても急に何かが飛び抜けて強くなったり、うまくなったりすることはないので、自分たちのやるべきことを信じて突き進んでいけるどうかを選手に問いながら、なおかつ一緒に進んでいきたいです」

 ここから改めて粘り強く戦っていけるのか注目だ。 

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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