70メートル先の的を狙うにはメンタルの強さ必須

お笑いタレントのおばたのお兄さんがフジテレビ系「ワイドナショー」の企画でアーチェリーに挑戦している。日本体育大学の大先輩にあたるアーチェリー界のレジェンド・山本博氏から指導を受け、高い素質を披露。4月7日放送分では今後の大会出場など本格的な挑戦を勧められた。

旧石器時代に狩猟のために弓矢を使用したのが始まりとされるアーチェリーは、的を狙って1本の矢を射るシンプルなスポーツ。日本の弓道と区別するために「洋弓」と呼ばれることもあるが、弓の形態や競技の形態は様々な種類がある。わずかな雑念がミスにつながるため、メンタルの強さが勝敗の決め手となる競技だ。

オリンピックでは70メートルの距離で行われ、直径122センチの標的の中心に命中すると10点、その外側に向けて9点から1点までの円が並んでおり、外側は0点となっている。日本はこれまで計7個のメダルを獲得。男子の成績は以下の通りだ。

五輪アーチェリー競技男子日本代表の成績

道永宏、山本博、古川高晴がメダル獲得

1976年モントリオール五輪で道永宏が銀メダルに輝いたのが日本人第1号。両親ともにアーチェリー選手で、父は1969年の世界選手権日本代表だった。幼い頃からアーチェリーに親しんで育った道永は、同志社大学在学中に19歳で日本初のメダリストになった。

先述の山本博が最初のメダルを獲得したのが1984年ロサンゼルス五輪。横浜高校時代にインターハイ3連覇を達成し、日本体育大学3年生だった21歳の時に銅メダルを獲得した。

山本は1988年ソウルは8位、1992年バルセロナは17位、1996年アトランタは19位、2000年シドニーは出場を逃したが、2004年アテネ五輪で銀メダル。当時41歳で、実に20年ぶりの快挙だった。

山本に続いて日本に吉報をもたらしたのが古川高晴だ。初出場のアテネ五輪は22位、2008年北京五輪は6位と順位を上げ、迎えた2012年ロンドン五輪。決勝で呉真爀 (韓国)に敗れたものの銀メダルに輝いた。

さらに2016年リオデジャネイロの8位を経て臨んだ2021年東京五輪。武藤弘樹、河田悠希とともに出場した男子団体で日本初の銅メダル、個人でも銅メダルを獲得した。

女子はロンドン五輪団体で銅メダル

続いて女子も見ていこう。ミュンヘン五輪以降の歴代日本代表の成績は以下の通りとなっている。

五輪アーチェリー競技女子日本代表の成績

早川漣、蟹江美貴、川中香緒里が快挙

1984年ロサンゼルス五輪で石津裕子が4位、2000年シドニー五輪で川内紗代子が5位、2008年北京五輪で早川浪が6位などの実績があるが、メダルにはあと一歩届かなかった。

初めて表彰台に立ったのは2012年ロンドン五輪。早川漣、蟹江美貴、川中香緒里が出場した女子団体準決勝で韓国に敗れたものの、3位決定戦でロシアに勝ち、銅メダルに輝いた。

また、2021年東京五輪から採用された混合団体では、武藤弘樹&山内梓が1回戦敗退した。

五輪アーチェリー競技混合団体日本代表の成績


パリ五輪アーチェリー競技は、開会式前日の7月25日から始まり、7月28日に最初のメダリストが決まる。日本は男子が古川高晴(近畿大学職員)、中西絢哉(シーアール物流)、斉藤史弥(日本体育大学)、女子は野田紗月(ミキハウス)が代表に内定している。

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