日本相撲協会は30日、大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。新入幕を果たした時疾風(27=時津風部屋)は都内の部屋で昇進会見を行い、4月8日に1歳年下の志織さん(26)と結婚したことを報告。公私で充実の時を迎え、二重の喜びをかみ締めた。

 番付を手にした時疾風は、何度も笑みをこぼした。「やっぱりうれしいですね。(しこ名が)太く大きくなると。実感が湧きました」。初土俵から5年。ついに幕内にたどり着き、人生の伴侶も得た。「もっと頑張らないといけない。気を引き締めて」と自らに言い聞かせるように語った。

 志織さんとの出会いは約3年半前。地元・長崎から九州場所に訪れていた。「一言で言えば自分の一目ぼれ」。ほどなく交際が始まり、昨年末のクリスマスイブにプロポーズ。春場所後に婚姻届を提出する予定でいたという。その春場所は東十両筆頭で臨み、千秋楽で勝ち越しを決めた。人生の大きな節目を前に、新入幕を確実にした。「意識はしないようにしていたけれど、勝ち越して新入幕になったタイミングで良かった。ずっと支えてもらったので、ここで上がれたのも奥さんのおかげだと思う」。新入幕を懸けた大一番を前にしても「いつも通りやれば大丈夫」と背中を押されていた。

 宮城県出身としては97年春場所の五城楼(現・浜風親方)以来27年ぶりの幕内力士誕生。春場所後は地元で祝勝会が開かれ、盛り上がりも感じている。「2桁勝って、技能賞を取りたい」。さらに番付を上げ、貴景勝、翠富士ら同世代との対戦を心待ちにしている。

 ◇時疾風 秀喜(ときはやて・ひでき)本名=冨栄(とみえ)秀喜。1996年(平8)8月25日生まれ、宮城県栗原市出身の27歳。小牛田農林高、東農大を経て時津風部屋に入門し、19年春場所で初土俵。「時栄」のしこ名で同年名古屋場所で序二段優勝。22年春場所から「時疾風」に改名。23年夏場所で新十両。翌名古屋場所で十両から陥落も幕下優勝を果たして1場所で関取復帰。1メートル79、132キロ。