ファッション評論家のドン小西氏(73)が30日、フジテレビ系「Live News イット!」(月〜金曜後3・45)にリモートで生出演し、ブライダルデザインの第一人者で26日に死去した桂由美(かつら・ゆみ、本名結城由美=ゆうき・ゆみ)さんのビジネスのきゅう覚について語った。

 桂さんの訃報は30日、公式サイトで発表された。94歳だった。葬儀は行わず、追悼ショー(しのぶ会)を後日開催する予定。

 桂さんは優秀なデザイナーでありながら、自ら動いてビジネスを展開するなど、積極性に優れていた。ドレスは日本はもちろん、欧米やアジア各国へも進出。桂さんのドレスを着た花嫁は“ユミブライド”と呼ばれ、世界に約70万人いるとも言われる。小西氏は「イメージ的に桂さんはデザイナーでもあるんですけど、マーケティングにもすごく長けてらっしゃる方なんですよね。むしろ、“美です!”というものをきちっとやられる方。ファッションというのは、時代に合わなければファッションじゃないんですよね。そこをきちっとやられている方なんですよね」と解説した。

 1965年に自身のドレス専門店を開業。それに先立ち、各国のブライダル事情について取材旅行を行った。元女優でモナコ公妃のグレース・ケリーさん、ハリウッドのトップ女優だったオードリー・ヘプバーンさんらも取材したという。93年には当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世に祭服を献上した。

 世界をまたにかけた桂さんの積極性。小西氏は「自分からどんどん攻めていくというのがすごいですね。誰かの紹介で、待っていて転がり込んだということじゃないんです。自分からどんどんどんどん精力的に行くというのが、彼女のやり方なんですね。一瞬、一瞬を絶対に無駄にしない。生きている間にきっちりと自分の功績を残すんだという執念はすごいです」と称賛した。

 自身がデザインしたコレクションをパリコレでも発表。世界で話題になった。小西さんはパリコレに向けて意気込む桂さんと当時、食事をしたという。「やる以上はどれだけジャーナリストを呼べるのか、そんな話になりました。その時の印象をいまだに覚えてますよ。やるからには、どうやったら日本人ジャーナリストを呼べるんだとか。やる以上は費用対効果も考えて、それなりにきっちりやらないといけないなと」。そんな野心を持った桂さんに、強く感銘を受けたという小西氏。「そのころ、毎日デザインに明け暮れて、デザインしか考えてなかった僕なんですが、はぁ〜なるほどと、すごく勉強になったのを覚えています」と振り返っていた。

 桂さんは1930年4月24日生まれ、東京都出身。1964年、日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動を開始した。翌年、日本初のブライダル専門店をオープン。日本のブライダルファッション界の第一人者としてパリやNYなど世界各国30以上の都市でショーを行い、「ブライダルの伝道師」とも称される。69年にはNPO法人全日本ブライダル協会を設立。72年に元大蔵省官僚の結城義人さんと結婚し、90年に死別している。1993年に外務大臣表彰、2019年には文化庁長官表彰を受賞。